
伝承
道後玉の石伝承は、愛媛県松山市を入口にたどる伝承。愛媛県松山市を代表地点として、寺社縁起・地名由来の文脈で語り継がれる物語を整理する
道後玉の石伝承は、伊予国・道後温泉の発祥にまつわる古代伝承で、大国主神(おおくにぬしのかみ)と少彦名命(すくなびこなのみこと)が国造りの途中に伊予の地を訪れ、病み疲れた少彦名命を温泉に浸して甦らせたとする神話的由来譚を中核とする。元気を取り戻した少彦名命が湯壺の傍らの石の上で立ち上がって踊り出したと伝えられ、その石こそが道後温泉本館の北側に現存する「玉の石(たまのいし)」とされる。神々が見出した湯として、道後温泉は記紀に登場する最古の温泉のひとつに数えられる。
物語は三段で構成される——(一)国造りの途上での少彦名命の発病、(二)湯による平癒と「玉の石」の上での歓喜の舞、(三)後世の温泉信仰と石の祭祀化。大国主神・少彦名命の医薬譚は記紀の医療神話の代表例で、伊予の湯はその実地比定地として古代から認識されてきた。湯と石と医薬神の三層の結びつきが特色である。
中心比定地は愛媛県松山市道後湯之町の道後温泉本館北側に祀られる「玉の石」。すぐ近くの伊佐爾波神社(いさにわじんじゃ)、湯神社(ゆじんじゃ)は道後温泉一帯の鎮守として大国主神・少彦名命を祀り、社伝にも玉の石伝承が継承される。記紀の医療神話圏として、出雲大社(島根県)、大神神社(奈良県)と関連神話圏を成す。
『伊予国風土記』(逸文、和銅六年・713 年頃撰)に大国主神・少彦名命の温泉来訪と少彦名蘇生譚が伝わる。『万葉集』巻三・三二二番、山部赤人の長歌に「神代より神々し」道後の湯への讃辞が見える。湯神社・伊佐爾波神社の社伝、近世地誌『予陽郡郷俚諺集』(江戸後期成立)、愛媛県・松山市の文化財解説資料も参照される。
寺社縁起・社寺由緒資料 道後玉の石伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 道後玉の石伝承に基づく道後玉の石伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した道後玉の石伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。