
伝承
兵庫県の長壁伝承は兵庫県を主な舞台として整理する伝承。長壁との関係を持ち、一覧や地図で出典、土地、怪異を結ぶ入口になる。
長壁(おさかべ/刑部)伝承は、兵庫県姫路市の世界文化遺産・国宝姫路城(しらさぎじょう)の天守最上階に棲むとされる女神・長壁姫(おさかべひめ)の物語である。長壁姫は姫路の地霊として古くから祀られ、城主であっても天守最上階に上ることを許されず、年に一度だけ姿を現して城主に城の運命を告げる、と伝えられる。鳥山石燕『今昔画図続百鬼』には十二単(じゅうにひとえ)の美しい女姿で描かれ、人間の前にめったに姿を見せない高貴な妖怪として記される。お菊井戸の女中・お菊と並ぶ姫路城の二大怪異として知られる。
物語は三段で構成される——(一)城主交代と天守最上階への登拝、(二)長壁姫の出現と託宣、(三)城の運命の告知と再びの不可視化。神でも幽霊でもない「城の主(あるじ)」としての地霊像が特徴で、姫路の地名「刑部(おさかべ)」と結ばれた地名起源の妖怪として、城郭信仰の代表例と位置づく。
比定地は兵庫県姫路市本町の姫路城天守最上階。城内には長壁神社が祀られ、現在も播磨国総社(はりまのくにそうしゃ)の摂社として続く。姫路市内の刑部神社、宍粟市の宍粟刑部神社にも分祀が伝わる。お菊井戸とともに姫路城を代表する怪異伝承地。
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(安永八年・1779 年)所収「長壁」。井原西鶴(いはらさいかく)『新可笑記』(元禄元年・1688 年)巻五、近世姫路藩関係史料『姫路城史』、兵庫県教育委員会編『兵庫県史 民俗編』。城郭怪異の代表として柳田國男『妖怪談義』にも言及がある。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
兵庫県の長壁伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、地域の怪異伝承を整理する二次資料。