
伝承
茨城県の日和坊伝承は茨城県を主な舞台として整理する伝承。日和坊との関係を持ち、一覧や地図で出典、土地、怪異を結ぶ入口になる。
日和坊(ひよりぼう)伝承は、茨城県を含む常陸国(ひたちのくに)の山中に出るとされる天候の怪異で、晴天には姿を現すが雨天には決して出ない、と伝えられる妖怪である。鳥山石燕『今昔画図続百鬼』に描かれる日和坊は、山の頂に立つ毛むくじゃらの小柄な人型で、天気を司る妖怪として記される。常陸の人々はこの妖怪を捕らえて「てるてる坊主(晴天祈願人形)」の起源にしたと語られることもあり、農耕と気象を結ぶ民俗的想像力の結晶として伝わる。同じ画集に描かれる「赤舌」「以津真天」と並ぶ自然秩序系妖怪群の一角。
物語は三段で組み立てられる——(一)晴天の山頂への出没、(二)雨天時の不可視化、(三)てるてる坊主(日和坊主)への民俗的転化。天候の擬人化という点で、中国の照天娘(てれてるぼうず)の起源説とも交差し、東アジア気象民俗の比較対象として研究されてきた。柳田國男の妖怪研究では「自然神話の零落形」の一例として位置づけられる。
中心となる伝承圏は茨城県常陸太田市・常陸大宮市など常陸山地、および筑波山系。常陸風土記の地に重なり、八溝山(やみぞさん)系の山岳信仰圏と接続する。日和坊の名は同じ自然系妖怪の「以津真天」(京)・「鳴釜(なりがま)」(吉備)と並べて『今昔画図続百鬼』に収められる。
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(安永八年・1779 年)所収「日和坊」。茨城県教育委員会編『茨城県史 民俗編』、柳田國男『妖怪談義』『日本の伝説』。江戸期随筆『古今要覧稿』『嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)』にもてるてる坊主との接続が論じられる。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
茨城県の日和坊伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、地域の怪異伝承を整理する二次資料。