
伝承
京都府の輪入道伝承は京都府を主な舞台として整理する伝承。輪入道との関係を持ち、一覧や地図で出典、土地、怪異を結ぶ入口になる。
輪入道(わにゅうどう)伝承は、京都府を中心に近畿一帯に伝わる、燃え盛る車輪の中央に男の顔がある異形の怪異譚である。深夜の路を凄まじい速さで転がりながら現れ、「車に喰われたくなくば、家の中に入って戸を閉ざせ」「これを見し者は災いに見舞われる」と伝えられる。京の片羽(かたわ)の辻に出るともされ、その姿を見てしまった家には禍が及ぶが、戸口に「此所勝母(しょもの)が里」と書いた札を貼っておけば災いを避けられると語られる。輪入道は罪人の処刑場(車裂きの刑場)の怨念の妖怪化、あるいは地獄の火車(かしゃ)の人界出現と説明される。
物語は三段で構成される——(一)深夜の通りでの燃え盛る車輪の出現、(二)これを目撃した者への警告と災い、(三)「勝母の里」の札による回避作法。視覚的禁忌(見るな)と札による境界守護を組み合わせた「都市怪異」の典型で、京の以津真天(いつまで)、片輪車(かたわぐるま)と並ぶ近畿の妖怪三大車輪怪異を成す。
比定地は京都府京都市内、特に近世の刑場跡や辻に集中する。片輪車(かたわぐるま)伝承の甲賀(こうが、滋賀県)と地理的に隣接し、両妖怪は同型の車輪怪異として比較される。京の片羽の辻、東山の旧刑場周辺、近江との国境付近が代表的伝承地として語り継がれる。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』(安永五年・1776 年)所収「輪入道」。井原西鶴『諸国百物語』(延宝五年・1677 年)巻五「京片羽車(かたわぐるま)の事」。京都府教育委員会編『京都府史』、近世の地誌『山州名跡志』。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
京都府の輪入道伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、地域の怪異伝承を整理する二次資料。