
伝承
沖縄県のブナガヤ伝承は沖縄県を主な舞台として整理する伝承。ブナガヤとの関係を持ち、一覧や地図で出典、土地、怪異を結ぶ入口になる。
ブナガヤ伝承は、沖縄県北部の国頭(くにがみ)地方、特に大宜味村(おおぎみそん)喜如嘉(きじょか)に伝わる赤毛の妖怪譚で、ブナガヤ(あるいはキジムナー)は榕樹(ガジュマル)の古木に棲む、赤い髪の小柄な子供姿の精霊である。人に親しみ、漁を助け、夜の海で魚の左目だけを集めて食べる、子どもと相撲を取って遊ぶ、夜の灯火を持って山道に現れる、と伝えられる。沖縄北部のヤンバル(山原)森林帯を本拠とする山童(やまわらわ)型妖怪で、本土の河童(かっぱ)・座敷童子(ざしきわらし)と機能的に対応する沖縄独自の精霊として知られる。
物語は三層で構成される——(一)ガジュマルの古木との不可分の住み処、(二)人との親しみと共同(漁の助力、子どもとの遊戯)、(三)禁忌(タコを嫌う、火を粗末にしない)の遵守と破綻。木霊(こだま)信仰、火の神(ヒヌカン)信仰、海の他界(ニライカナイ)信仰が交叉する沖縄の精霊観の典型として位置づき、座敷童子・河童と対比される南西諸島の郷土妖怪の代表である。
中心となる伝承圏は沖縄県国頭郡大宜味村喜如嘉、東村、国頭村のヤンバル国立公園域。世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の沖縄島北部にあたる亜熱帯照葉樹林帯の精霊として語られる。喜如嘉では「ブナガヤの里」として地域おこしが進められ、ガジュマルの古木とブナガヤ像が観光資源となっている。
仲松弥秀(なかまつやしゅう)『神と村』、伊波普猷(いはふゆう)『古琉球』、沖縄県教育委員会編『沖縄県史 民俗編』、大宜味村史。柳田國男『海上の道』『妖怪談義』にも南西諸島精霊への類縁的言及がある。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
沖縄県のブナガヤ伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、地域の怪異伝承を整理する二次資料。