
伝承
佐賀県の神社姫伝承は佐賀県を主な舞台として整理する伝承。神社姫との関係を持ち、一覧や地図で出典、土地、怪異を結ぶ入口になる。
神社姫(じんじゃひめ)伝承は、佐賀県肥前国(ひぜんのくに)の海から現れた予言獣の物語で、文政二年(1819 年)の瓦版(かわらばん)に「肥前国の浜に三本の角と長い髪を持つ女面・魚体の生物が現れ、当方は龍宮の使いなり、向後七年豊作なれども、その後コロリ(コレラ)が流行する。我が姿を写し見る者は災いを免れる」と告げたとされる予言譚に基づく。アマビコ(尼彦/海彦)、件(くだん)と並ぶ江戸後期の予言獣ブームの代表例で、神社姫の絵姿は疫病除けの護符として全国に流布した。
物語は三段で構成される——(一)海からの異形の出現、(二)豊凶・疫病の予言、(三)絵姿の頒布による災厄除け。「予言と肖像護符」の組み合わせは江戸後期に流行した一群の妖怪譚に共通し、アマビコ(あまびこ/天彦)・アマビエ(あまびえ)・件(くだん、頭が人で体が牛)と並ぶ「アマビエ系予言獣」のひとつに数えられる。2020 年の新型コロナ流行時、アマビエとともに再注目された。
舞台は佐賀県を含む九州北部・西部の沿岸(肥前国は現在の佐賀・長崎にあたる)。文政期の瓦版に「肥前国」と記され、具体的な町名は特定されていないが、佐賀県唐津湾・有明海沿岸の漁村部が舞台と推定される。同型の予言獣アマビエ(あまびえ)は熊本県海中、件(くだん)は丹後・若狭の海辺に出現し、九州・北陸の海岸が予言獣の出現地として並ぶ。
文政二年(1819 年)肥前国浜出現の瓦版(複数本伝来、川崎市市民ミュージアム所蔵『天保元年瓦版』ほか)。湯本豪一(ゆもとこういち)『江戸の予言獣 アマビコ・件 妖怪研究の最前線』、佐賀県教育委員会編『佐賀県史 民俗編』、長野栄俊(ながのえいしゅん)の予言獣研究論文群(『若越郷土研究』掲載)。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
佐賀県の神社姫伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、地域の怪異伝承を整理する二次資料。