
伝承
和歌山県のカシャボ伝承は和歌山県を主な舞台として整理する伝承。カシャボとの関係を持ち、一覧や地図で出典、土地、怪異を結ぶ入口になる。
カシャボ伝承は、和歌山県紀伊半島の山中に伝わる山童(やまわらわ)型の怪異譚で、河童(かっぱ)が夏には水中、冬には山中に移り住む際の「山に上がった河童」の紀伊変種として語られる。カシャボは子どもの姿で深山の谷川に棲み、相撲を好み、人に呼ばれれば里に下りて田仕事を手伝うが、嫌うものを与えると怒って祟る、と伝えられる。紀伊山地の修験道圏、熊野信仰圏で語られ、九州大分のセコ、宮崎の山童(やまわらわ)と並ぶ「夏河童・冬山童」型の代表例として、紀伊・九州山地に分布する。
物語は三段で組み立てられる——(一)夏の川童(かわどう)から冬の山童(やまどう)への季節移動、(二)人里への下山と相撲・田仕事への参加、(三)禁忌の遵守と祟りの回避。河童と山童が一連の生態系として捉えられる点は、紀伊・九州山地に共通する民俗で、熊野那智の那智烏石(からすいし)、熊野本宮の修験道圏とも文脈を共有する。
中心となる伝承圏は和歌山県田辺市・新宮市・東牟婁(ひがしむろ)郡の紀伊半島南部、特に熊野古道沿いの山中。世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成エリアにあたり、修験道の熊野三山(本宮・速玉・那智)信仰圏の縁辺で語り継がれた。同じく紀伊半島の和歌山県有田郡の竜神信仰、奈良県の吉野熊野国立公園域とも文脈を共有する。
柳田國男『山島民譚集』『山の人生』『妖怪談義』、和歌山県教育委員会編『和歌山県史 民俗編』、田辺市史、新宮市史。近世紀伊の地誌『紀伊続風土記』にも山中の童子怪異への類縁的言及がある。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
和歌山県のカシャボ伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、地域の怪異伝承を整理する二次資料。