
鬼
三吉鬼は秋田県を主な手がかりとして整理する怪異。太平山周辺の鬼として語られる存在として語られ、対応する伝承と地図上の土地へつながる。
三吉鬼(さんきちおに)は、秋田県の太平山(標高 1170m、秋田市と上小阿仁村の境)周辺に住むとされる鬼神。怪力で人を助け、相撲を取って勝負する、酒を好む豪傑な性格で語られる。太平山三吉神社の祭神「三吉霊神」と習合し、勝負・力業・酒造の守護神として現代も信仰される。
代表的な筋は、太平山周辺の山中で旅人が困っていると三吉鬼が現れて荷を担いで里まで送る、相撲を挑んできて勝負する、酒造りの蔵で酒を飲み干すといたずらをするが恵みも与える、というもの。秋田県の里謡「秋田音頭」にも「三吉様」として登場し、地域守護神と豪傑鬼が一体化した東北特有の存在として位置づけられる。
秋田県太平山三吉神社(秋田市広面字赤沼)の社伝に三吉霊神の縁起が伝わる。鬼として語られる側面は近世以降の郷土資料・秋田藩の地誌『久保田領郡邑記』に類話が散見される。鳥山石燕の図像群には含まれないが、近代以降は村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)等の事典類に整理され、国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」にも採録される。
怪力豪傑の鬼神として、岩手の「岩手鬼」(早池峰山)、山形の「鬼武者」と東北山岳鬼神の系譜を共有する。鬼と神の境界に位置する存在では、酒呑童子・茨木童子のような畿内鬼神と対をなし、東北では神格化された豪傑鬼として崇拝対象となる点が特徴的。太平山三吉神社の例大祭(梵天祭、毎年一月十七日)は現代まで斎行される。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
三吉鬼に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、各地の妖怪名と伝承を整理する二次資料。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。