物の怪の分類ビジュアル

霊

物の怪

公開検証済みもののけ

人に取り憑いて病や死をもたらす怨霊・死霊・生霊などの霊的存在の総称。『源氏物語』『枕草子』など平安期の宮廷文学に頻出する。

概要

物の怪(もののけ、物怪)は、人に取り憑いて病や苦しみ、死をもたらすとされる怨霊・死霊・生霊などの霊的存在の総称。Wikipedia 日本語版によれば「怨霊、死霊、生霊など霊のこと」と定義され、平安期の宮廷社会において広く信じられた。語源は「物の気」で、当初は病そのものを指したとされるが、9 世紀後半から霊的存在が原因という認識が定着した。陰陽師・密教僧による加持祈祷で調伏される対象として、平安期の信仰体系の中核を成した。

出現の文脈

最古の用例は『日本後紀』天長 7 年(830 年)の記事に見えるが、当初は病の意であった。物の怪信仰が体系化したのは菅原道真死去(903 年)後の御霊信仰の興隆期で、10 世紀以降『源氏物語』葵巻の六条御息所の物の怪(生霊)、『枕草子』『紫式部日記』『栄花物語』など宮廷文学に多くの事例が見える。験者(修験者・密教僧)が物の怪を寄坐(よりまし)に憑依させて調伏する加持祈祷が宮廷で広く行われた。

言及される伝承

中世以降は能の主要題材となり、『葵上』『道成寺』『鉄輪』など物の怪を主題とする曲が一系を成した。鳥山石燕『画図百鬼夜行』など江戸期妖怪画では物の怪が妖怪体系の中に位置づけられ、近世の怪異観に継承された。柳田國男以降の民俗学では、御霊信仰・憑き物筋・怨霊鎮魂と関連づけて論じられ、日本の他界観・霊魂観の重要な要素として研究される。

出典

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