死霊の分類ビジュアル

霊

死霊

公開検証済みしりょう

死者の霊魂を指す日本古来の概念。生霊と対をなし、しばしば怨霊として現世に祟りをなすとされる。鳥山石燕『画図百鬼夜行』にも図像が残る。

概要

死霊(しりょう)は、死者の霊魂を指す日本古来の霊的概念で、生霊と対をなす。死後の魂が現世に留まり、生者に取り憑いたり、縁者の前に現れたりするとされる。多くは生前の怨念や未練を抱えた怨霊(おんりょう)として描かれ、祟りや病をもたらす存在として恐れられた一方、死期前後に親しい者の前に現れて別れを告げる「虫の知らせ」型の死霊譚も広く伝承される。

出現の文脈

鳥山石燕『画図百鬼夜行』には死霊の図像が収められ、江戸期の妖怪体系のなかに明確に位置づけられた。柳田國男『遠野物語』では遠野地方の死霊譚として、死者が四十九日まで縁者のもとを巡る伝承や、生者を黄泉へ連れ去ろうとする例が採録される。地域別呼称には新潟県のシニンボウ(死人坊)、東北地方の「魂呼ばい」(死者の魂を呼び戻す習俗)等があり、葬送習俗と密接に結びつく。

言及される伝承

平安期の物の怪信仰では、生霊・死霊・怨霊・もののけが渾然と扱われ、『源氏物語』『栄花物語』に多くの事例が見える。中世の能では『砧』『井筒』『定家』のように死霊が主人公となるシテ物が一系を成し、近世以降は『雨月物語』「白峯」「菊花の約」などの怪異小説に発展的に継承された。柳田國男以降の民俗学では祖霊信仰・盆行事との関連で整理され、日本の他界観の重要な要素として論じられる。

出典

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