
妖怪
ぬるぬる坊主は鳥取県を主な手がかりとして整理する怪異。ぬめりのある僧形の怪異として語られ、対応する伝承と地図上の土地へつながる。
ぬるぬる坊主は、ぬめりを帯びた肌を持つ僧形の怪異として伝えられる存在。鳥取県を中心に類話が伝えられたと伝えられ、湿地・池沼・古井戸など水気の多い場所に現れる、と語られる。坊主頭の人形の輪郭に、滑り気のある皮膚という形質を重ねた水辺怪異である。
典型的な筋は、夜の池や古井戸の縁で、ぬらりとした肌の人影が現れて手を伸ばす、というもの。出会った者は驚いて逃げるが、後日肌に湿った痕跡が残るという話型が語られる。鳥取県東部・中部の水辺集落で類話が伝えられたと伝えられ、河童系の水怪・寺院系の偽僧怪が交差する位置に立つ怪異と論じられる。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』陰の巻(1776 年)の「ぬらりひょん」「ぬっぺふほふ」などぬめり系の図像妖怪との連続性が指摘される。鳥取県の郷土誌、山陰民俗学会の調査記録、村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)、国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に類話が収録される。
近縁怪異として「ぬらりひょん」「ぬっぺふほふ」「ぬっぺらぼう」と肌質・図像の主題を共有する。坊主頭という属性は寺院偽僧型の「蟹坊主」「青坊主」と一定の連続性を持ち、水辺の怪異と寺院怪異の境界に立つ存在として位置づけられたと伝えられる。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
ぬるぬる坊主に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、各地の妖怪名と伝承を整理する二次資料。