
神別
猿女氏は、大和・山城を拠点とした神別の氏族。天宇受賣命を祖と伝え、岩戸開きの神楽に由緒を持つ古代宮廷芸能系氏族。
猿女氏(さるめうじ)は、宮廷の鎮魂祭(ちんこんさい)と神楽奉仕を担った神別氏族。「猿女」は天宇受賣命(あめのうずめのみこと)の天岩戸前の神楽舞に由来する氏号で、女性が氏の中心を成す稀有な祭祀氏族として記紀に登場する。大嘗祭・新嘗祭・鎮魂祭において宮廷神楽を奉仕した。
『古事記』上巻 天孫降臨段は、天宇受賣命が天孫降臨に同行し、天八達之衢(あめのやちまた)で猿田毘古神(さるたびこのかみ)と問答した功により、邇邇芸命から「汝が顕しまつりし猿田毘古大神を、専ら汝送り奉れ、また其の神の名は、汝負ひて仕へ奉れ」と命じられ、猿女君(さるめのきみ)の氏名を負ったと記す。『日本書紀』神代下 第九段一書もこれを伝える。直接の祖は天宇受賣と猿田彦の御子 大田命(おおたのみこと)とされ、伊勢の宇治土公(うじのつちぎみ)と同祖系譜を成す。
猿女氏は男系を主軸とする他の古代氏族と異なり、女性の祭祀職継承を制度化した特異な氏族として続いた。『延喜式』神祇式は、鎮魂祭・新嘗祭・大嘗祭において猿女君が神楽を奉仕すると規定し、宮廷祭祀の中で確たる位置を占めたことを示す。律令制下では神祇官に属する伴部として組織され、平安期まで宮廷神楽の伝統を担った。中世以降は神楽芸能の系統が春日大社・賀茂社などの社家神楽に継承されていく。
椿大神社(つばきおおかみやしろ、三重県鈴鹿市山本町)は猿田彦大神を主祭神とし、相殿に天之鈿女命(天宇受賣命)を祀る伊勢の古社で、猿女氏祭祀圏の中核を成す。佐瑠女神社(さるめじんじゃ、三重県伊勢市宇治浦田、内宮所管社)は天宇受賣命を祭神とし、芸能上達の神として信仰される。猿田彦神社(伊勢市宇治浦田)は大田命を初代神主とする宇治土公の継承する社で、同祖系譜の祭祀圏を伝える。
古事記(和銅5年)— 天宇受賣命の系譜・猿女氏族条
一次文献太安万侶(和銅5年)
古事記(和銅5年)— 天宇受賣命の系譜・猿女氏族条に基づく猿女氏の代表的な典拠整理。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1920952Wikipedia「猿女氏」
二次資料Wikipedia「猿女氏」を参照した猿女氏の系譜・地域的受容の補助確認。
https://ja.wikipedia.org/wiki/猿女氏