
伝承
赤城山と榛名山の神戦伝承は群馬県前橋市を代表地点として整理する伝承。山の神同士の争いとして語られる上野の山岳伝承として語られ、出典、土地、関連エンティティを分けてたどれる。
赤城山と榛名山の神戦(かみいくさ)伝承は、群馬県の上野国に屹立する二大山岳・赤城山(あかぎやま)と榛名山(はるなさん)の山神同士が、湖の水や領地をめぐって争ったとする山岳神話である。赤城山の山神は大蛇(おろち)または百足(むかで)の姿で、榛名山の山神は同じく大蛇または鹿の姿で語られる版が多く、両神の戦いの跡が両山の地形・湖(赤城大沼・榛名湖)・谷に残るとされる。中世の地誌・近世の地方誌で繰り返し記され、上野(こうずけ)の山岳信仰の根本縁起を成す譚として伝えられる。日光男体山と赤城山の神戦譚(中禅寺湖の戦場ヶ原)とも対を成し、上毛三山(赤城・榛名・妙義)と日光二荒山の信仰圏の境界画定として機能する。
物語は三段で構成される——(一)両山神の領地・水源をめぐる対立、(二)大蛇・百足等の獣体での戦闘と地形への痕跡刻印、(三)勝敗の決着と祭祀の確立。山神同士の争いと地形の照応という構造は、出雲の国譲りや筑波山と富士山の伝承と同系統である。赤城神社・榛名神社の神格化された両山神の縁起として、現在の信仰圏の根本を画定する。
比定地は群馬県前橋市の赤城山(標高 1828m、赤城大沼)と、群馬県高崎市・東吾妻町の榛名山(標高 1449m、榛名湖)。両山ともカルデラ湖を持つ火山で、湖の水量の差異が「戦闘の結果」として地誌に説明された。赤城神社(前橋市富士見町)・榛名神社(高崎市榛名山町)が現在の信仰中心。
『上野国神名帳』、近世地誌『上毛伝説集』『新編相模国風土記稿』、群馬県教育委員会編『群馬県史 民俗編』。赤城神社社伝、榛名神社社伝、日光二荒山神社の神戦譚と相互照応する江戸期の地誌類に詳しい。
上野国伝説資料
一次文献上野国伝説資料に見える赤城山と榛名山の神戦伝承の代表的な典拠。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系など、赤城山と榛名山の神戦伝承の伝承差や地域的受容を整理する二次資料。
あなたの縁
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