
伝承
福井県のあっぽっしゃ伝承は福井県を主な舞台として整理する伝承。あっぽっしゃとの関係を持ち、一覧や地図で出典、土地、怪異を結ぶ入口になる。
あっぽっしゃ伝承は、福井県大飯郡(おおいぐん)の沿岸集落に伝わる来訪神型の怪異譚で、毎年小正月(一月十四日)の夜、海の彼方から鬼の面をかぶった異形の者が「あっぽっしゃ、あっぽっしゃ」と叫びながら家々を訪れる行事に基づく民俗伝承である。あっぽっしゃは、怠け者の子や言うことを聞かない子を「連れて行く」と脅し、家人がご馳走(餅・酒)を出して帰すという筋を踏む。年に一度、海の他界から訪れて子供たちを教育し、災厄を持ち去る神格として位置づき、東北の「なまはげ」、能登の「アマメハギ」と同系の来訪神民俗を伝える。
伝承は三段で展開する——(一)小正月の夜の海からの来訪、(二)家々での「悪い子」の叱責と饗応、(三)餅・酒の奉納による帰還。「海の他界(ニライカナイ的他界観)」から訪れて去る客神(まれびとがみ)として、折口信夫(おりくちしのぶ)の客神論で重要視された民俗例の一つ。福井のあっぽっしゃは石川県能登半島のアマメハギと近接した来訪神圏を成す。
舞台は福井県大飯郡おおい町大島地区。若狭湾(わかさわん)に突き出した大島半島の漁村に伝承され、現在も「あっぽっしゃ行事」として一月十四日に保存会により継承されている。国の重要無形民俗文化財「西浦のおしくらまんじゅう」関連の若狭民俗圏に位置する。
折口信夫『古代研究 民俗学篇』『国文学の発生』、福井県教育委員会編『福井県史 民俗編』、おおい町文化財課の保存記録。柳田國男『年中行事覚書』にも来訪神行事への言及がある。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
福井県のあっぽっしゃ伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、地域の怪異伝承を整理する二次資料。