
来訪神
あっぽっしゃは福井県を主な手がかりとして整理する怪異。子どもを戒める来訪神的な怪異として語られ、対応する伝承と地図上の土地へつながる。
あっぽっしゃは、福井県の沿岸部に伝わる来訪神型の怪異。鬼面・蓑笠・藁簑などを身につけた異形の姿で家々を訪れ、悪い子どもを脅し諭す。秋田県のなまはげ、能登半島のアマメハギと系譜を共有する正月の来訪神祭祀の北陸版として位置づけられる。
代表的な筋は、小正月(旧暦一月十五日前後)に村の若者があっぽっしゃに扮装し、家々を回って「悪い子はいねが」と問い、子どもを驚かして戒める、というもの。家人は餅・米・酒を捧げて饗応し、来訪者は祝福を残して去る。福井県越前町(旧・織田町)・敦賀市の沿岸部に伝承が残り、無形民俗文化財として保護される。
福井県越前町の「あっぽっしゃ」は国の選択無形民俗文化財「越前町の藁細工と春祭」関連民俗として記録される。柳田國男『年中行事覚書』・折口信夫『古代研究』に来訪神論の枠組みが提示され、宮田登『日本のシャーマニズム』ほか民俗学諸論に位置づけられる。鳥山石燕の図像群には含まれず、北陸の生きた民俗祭祀として記録される。村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)と国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に項目立てされる。
来訪神型の祭祀怪異として、秋田県男鹿の「なまはげ」、能登半島の「アマメハギ」、薩摩硫黄島の「メンドン」、宮古島の「パーントゥ」と系譜を共有する。これらは 2018 年にユネスコ無形文化遺産「来訪神:仮面・仮装の神々」として一括登録された。北陸特有の語彙として「アッポッシャ」「アマメハギ」が並立し、若狭・越前の小正月行事に固有の音韻として継承される。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
あっぽっしゃに関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、各地の妖怪名と伝承を整理する二次資料。