
伝承
早池峰山開山伝承は、岩手県花巻市を入口にたどる伝承。岩手県花巻市を代表地点として、山岳信仰の文脈で語り継がれる物語を整理する
早池峰山開山伝承は、陸奥国・早池峰山(はやちねさん、標高 1,917m)を、大同年間(806〜810 年)に四角藤蔵(よすみとうぞう、藤蔵)が開山したとする山岳信仰譚である。猟師の四角藤蔵が山中で霊夢を受け、観音菩薩の示現に導かれて頂上を極め、山中に祠を建てたのが早池峰山開山の始まりとされる。山頂の祠は瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)を主祭神とし、山麓の早池峰神社(はやちねじんじゃ)四社(大迫、岳、江繋、内川目)が一体で早池峰信仰圏を成す。山岳神楽の早池峰神楽(国指定重要無形民俗文化財、ユネスコ無形文化遺産)が中世以来この山の祭礼で奉納されてきた。
物語は三段で構成される——(一)猟師・藤蔵の霊夢と観音示現、(二)山頂への登攀と祠の建立、(三)瀬織津姫命を中核とする山岳祭祀の確立と早池峰神楽の奉納。瀬織津姫命は『大祓詞(おおはらえのことば)』に登場する祓いの女神で、川の流れに穢れを流す神とされる。早池峰山の祭神比定は中世以降の山岳神格再編の興味深い例である。
中心比定地は岩手県花巻市大迫町・遠野市・宮古市にまたがる早池峰山と、山麓四社の早池峰神社。花巻市大迫町岳の早池峰神社が代表で、岳神楽・大償神楽の奉納所として知られる。遠野市附馬牛町の早池峰神社は『遠野物語』の世界とも接続し、柳田國男の民俗採訪の対象地となった。北上山地最高峰として三陸山岳信仰圏の中核を成す。
中世開山縁起『早池峯山妙泉寺縁起』、近世地誌『邦内郷村志』(享和年間成立)、『南部叢書』所収の地誌類が伝承を整える。柳田國男『遠野物語』(明治四十三年・1910 年)には早池峰山にまつわる神隠し・山人譚が散見される。早池峰神社の社伝、文化庁の無形民俗文化財解説、花巻市・遠野市の文化財解説資料も基礎参照とされる。
寺社縁起・社寺由緒資料 早池峰山開山伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 早池峰山開山伝承に基づく早池峰山開山伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した早池峰山開山伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
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名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。