因幡の白兎の分類ビジュアル

伝承

因幡の白兎

公開検証済みいなばのしろうさぎ

古事記上巻に記される白兎譚。大穴牟遅神(大国主神)が皮を剥がれた白兎を救う物語。

あらすじ

因幡の白兎は、『古事記』上巻に記される伝承で、大穴牟遅神(おおあなむちのかみ、後の大国主神)が皮を剥がれた白兎を救う物語。隠岐の島から因幡国へ渡ろうとした白兎は、和邇(わに)を欺いて並ばせ、その背を踏んで渡るが、最後の和邇に正体を見破られて毛皮を剥がれる。八上比売(やかみひめ)に求婚するため因幡へ向かう八十神(やそがみ)の兄弟神たちは、苦しむ白兎に海水を浴びて風に当たれと偽りの治療法を教え、白兎は一層苦しむ。荷物持ちとして遅れて到着した大穴牟遅神は、真水で身体を洗い、蒲(がま)の穂の上に転がるよう教え、白兎は元の姿に戻る。白兎は大穴牟遅神に、八上比売は兄弟神ではなく彼を選ぶと予言する。

神話の構造

物語は三段で構成される——(一)白兎の渡海と災難(欺きと報復)、(二)八十神の偽治療(悪意の試練)、(三)大穴牟遅神の真の治療と予言(慈悲と選任)。出雲神話圏の中心神格である大国主神の人格形成譚であり、八十神との対立構造の起点として位置づけられる。白兎は神使として後段の八上比売との婚姻譚を予告し、出雲系神話の系譜が動き出す転機を成す。

舞台・伝承地

比定地は鳥取県鳥取市白兎の白兎海岸一帯。白兎神社(鳥取市白兎)は白兎を主祭神とし、神話の舞台とされる御身洗池(みたらしのいけ)や気多前(けたのさき)の地名が現代まで継承される。白兎海岸は 1937 年(昭和 12 年)に国の名勝・天然記念物に指定された(文化庁 国指定文化財等データベース)。隠岐諸島から因幡への海路という設定は、古代の日本海交通の実在を反映するとみる説もある。

出典

『古事記』上巻 稲羽の素菟段(太安万侶撰、和銅五年・712 年)。『日本書紀』には類話なく、『古事記』固有の伝承である。中世以降の説話集には類縁譚が散見し、近世の本居宣長『古事記伝』に詳細な注釈がある。白兎神社の社伝、文化庁 国指定文化財等データベース「白兎海岸」項目も参照される。

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