
伝承
犬神伝承は、高知県の土地と犬神の語りを結ぶ伝承。憑き物としての語彙、家筋、地域資料を分けて辿れる。
犬神(いぬがみ)伝承は、高知県を中心に四国・中国地方に伝わる、犬の霊を憑(つ)け物として家系に取り憑かせる「憑き物筋(つきものすじ)」の民俗伝承である。生きた犬を首だけ出して土に埋め、目の前に食物を置いて餓死寸前で首を刎ねる、というおぞましい呪法によって犬神を作るとも、代々家筋に伝わって祀られているとも語られる。犬神筋の家の者を恨んだ相手は腹痛・狂気・死に至る、という具体的な災厄が語られ、近世以降、四国・中国地方の村落社会で婚姻・付き合いの忌避が広く行われた。憑き物筋差別は近代の問題として日本民俗学の主要テーマとなった。
伝承は三層で読まれる——(一)犬神の生成譚(生きた犬から呪具へ)、(二)家筋への憑依と災厄の発現、(三)村落社会における忌避と差別の固定化。憑き物筋という概念は、日本民俗における共同体内部の他者化メカニズムとして広く研究され、岡山県・島根県の狐持ち、佐渡島の蛇神筋とも比較される。
中心となる伝承圏は高知県の中山間地一帯と愛媛県・徳島県・大分県南部・島根県東部。山地集落の閉鎖性と憑き物観念が密接に結びつく地理を持つ。同種の蜘蛛・狐・狸の憑き物伝承(讃岐狸伝承など)と隣接する四国の民俗圏を成す。
速水保孝『憑きもの持ち迷信』(昭和二十八年・1953 年)、柳田國男『一目小僧その他』『妖怪談義』、石塚尊俊『日本の憑きもの』(昭和三十四年・1959 年)。高知県教育委員会編『高知県史 民俗編』、四国民俗誌の各論にも詳しい。記紀には登場しない近世的成立の民俗伝承群として位置づけられる。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
犬神伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベースを、inugami-legend の detail source-readiness pass の一次資料として参照。
犬神伝承 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
犬神伝承の概要に関する二次整理。
日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典を、名称・地域差・類縁語を確認する二次資料として参照。