
伝承
厳島弁才天伝承は、広島県廿日市市を入口にたどる伝承。広島県廿日市市を代表地点として、寺社縁起・地名由来の文脈で語り継がれる物語を整理する
厳島弁才天伝承は、安芸国・厳島(いつくしま、宮島)に祀られる弁才天(べんざいてん、弁財天)と、本来の主祭神である市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)との習合をめぐる中世以来の信仰譚である。市杵島姫命は宗像三女神の一柱で、海上交通・水の女神。中世に仏教の弁才天(サラスヴァティーに由来する智慧・音楽・水の女神)と習合し、厳島は日本三弁才天の筆頭(江島・竹生島・厳島)として広く信仰された。平清盛(たいらのきよもり)が仁安三年(1168 年)以降に厳島神社を現在の規模に大造営し、平家一門の崇敬を集めたことで全国的な信仰の中心となった。
物語は三段で構成される——(一)市杵島姫命の島鎮座(宗像三女神の海上分掌)、(二)中世における弁才天との習合と日本三弁才天の成立、(三)平清盛による大造営と平家の祈願寺としての位置づけ。市杵島姫命と弁才天の習合は神仏習合の典型例で、明治の神仏分離令で社僧が分離した後も、地域信仰のなかでは弁才天の名が長く併用されてきた。
中心比定地は広島県廿日市市宮島町の厳島神社(いつくしまじんじゃ、安芸国一宮)。海中に立つ朱塗りの大鳥居と海上社殿で世界文化遺産に登録される。神社背後の弥山(みせん、標高 535m)は弘法大師空海の開山と伝わる修行地で、山上には不消霊火堂、三鬼堂など神仏習合期の遺構が現存する。神奈川県江島神社(江の島)、滋賀県宝厳寺(竹生島)と日本三弁才天を成す。
『日本書紀』神代上第六段一書の宗像三女神の段、『延喜式』神名帳「安芸国 佐伯郡 伊都岐島神社 名神大」が文献的基礎を成す。『平家物語』巻三「足摺」「卒塔婆流」、『厳島神社縁起』(中世)、『芸藩通志』(文政八年・1825 年成立)が伝承を整える。厳島神社社伝、世界遺産関連解説、広島県・廿日市市の文化財解説資料も基礎参照とされる。
寺社縁起・社寺由緒資料 厳島弁才天伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 厳島弁才天伝承に基づく厳島弁才天伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した厳島弁才天伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。