
伝承
鹿児島県の一反木綿伝承は鹿児島県を主な舞台として整理する伝承。一反木綿との関係を持ち、一覧や地図で出典、土地、怪異を結ぶ入口になる。
一反木綿(いったんもめん)伝承は、鹿児島県肝属郡(きもつきぐん)高山町(現・肝付町)に伝わる空飛ぶ布の怪異譚で、夕暮れから夜にかけて空中を飛び、人の首や顔に巻きついて窒息させる、と伝えられる。一反は約十メートルの長さを持つ反物(たんもの)の単位で、その長さの白い布が宙を漂う姿が原型である。鹿児島県大隅半島の高山地方を本拠とする郷土妖怪として柳田國男により採録され、後に水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』に登場して全国的に知られる契機となった。
物語は三段で構成される——(一)夕暮れの空中での出現、(二)人の顔・首への巻きつきと窒息の危機、(三)刀や鎌での切り払いによる撃退。空中を飛行する妖怪は本土には類例が少なく、薩摩・大隅の南国的想像力を体現する。同じ大隅半島の野間岳(のまだけ)信仰圏、種子島の海怪譚と並ぶ南九州の郷土妖怪を代表する。
比定地は鹿児島県肝属郡肝付町(旧高山町)の野原・夕道。大隅半島東岸の農村部で語り継がれ、現在も「妖怪の里」として地域おこしの題材となっている。高山町出身者の口承を柳田國男・池田弥三郎らが採録し、近代日本の郷土妖怪研究の重要事例として確立した。
柳田國男『妖怪談義』『日本の伝説』、池田弥三郎(いけだやさぶろう)『日本の幽霊』、鹿児島県教育委員会編『鹿児島県史 民俗編』。水木しげる『日本妖怪大全』『ゲゲゲの鬼太郎』により全国流布した点でも特異な郷土妖怪。肝付町文化財課に口承記録が保存される。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
鹿児島県の一反木綿伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、地域の怪異伝承を整理する二次資料。