
伝承
春日鹿島立伝承は、奈良県奈良市を入口にたどる伝承。奈良県奈良市を代表地点として、寺社縁起・地名由来の文脈で語り継がれる物語を整理する
春日鹿島立伝承は、藤原氏(ふじわらうじ)の祖神・武甕槌命(たけみかづちのみこと)が常陸国・鹿島から大和国・春日へ白鹿に乗って遷座したとされる、春日大社(かすがたいしゃ)の創建譚である。神護景雲二年(768 年)、藤原氏の長者・藤原永手(ふじわらのながて)らが平城京の鎮護のため、鹿島神宮の武甕槌命、香取神宮の経津主命(ふつぬしのみこと)、枚岡神社の天児屋根命(あめのこやねのみこと)、比売神(ひめがみ)の四柱を春日山の麓に勧請(かんじょう)して春日大社を創建したと伝えられる。武甕槌命が白鹿に乗って常陸の鹿島から大和へ来たという伝えに基づき、春日の鹿は神鹿(しんろく)として、現在に至るまで奈良公園で保護されている。
物語の中核場面は三つで構成される——(一)藤原氏による平城京鎮護の構想、(二)鹿島・香取・枚岡の三社からの四柱の勧請と武甕槌命の白鹿による遷座、(三)春日山麓への鎮座と神鹿の繁殖。記紀の武甕槌命は出雲国譲りの主役神で、藤原氏(旧・中臣氏)の祖神。古代国家の重要神を氏族祖神として独占的に祀る構造は、藤原氏の権勢確立と並行する。
中心比定地は奈良県奈良市春日野町の春日大社。春日山原始林を背に四殿が並ぶ独特の社殿構成を取り、世界文化遺産に登録される。神鹿の生息地である奈良公園一帯と一体の聖地空間を成す。出立地である茨城県鹿嶋市の鹿島神宮、千葉県香取市の香取神宮、大阪府東大阪市の枚岡神社(ひらおかじんじゃ)と春日四社の系譜を成し、藤原氏の祖神信仰圏を構成する。
『続日本紀』神護景雲二年(768 年)条に春日社創建記事が見える。『古事記』『日本書紀』の出雲国譲り段、『延喜式』神名帳の春日祭式、藤原氏家伝『大鏡』『栄花物語』に氏神祭祀の継承が記される。中世『春日権現験記絵』(鎌倉末期成立)が祖神信仰を文芸化する。春日大社社伝、奈良県・奈良市の文化財解説資料、世界遺産関連資料も基礎参照とされる。
寺社縁起・社寺由緒資料 春日鹿島立伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 春日鹿島立伝承に基づく春日鹿島立伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した春日鹿島立伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。