
日本神話
天児屋命は、岩戸神話に位置づける神格。祝詞と言葉の役割を担う神格として、天岩戸と中臣氏の文脈を結ぶ
天児屋命(あめのこやねのみこと)は、『古事記』『日本書紀』に記される天津神。天岩戸事件で祝詞を奏上した神格として記され、中臣連(なかとみのむらじ)・藤原氏の祖神に位置づけられる。神事・祝詞の祖として、古代王権の祭祀の中核を占めた。
『古事記』上巻 天岩戸段では、天照大御神の岩戸隠れに際し、八百万の神々が天安河原に集った場面で、布刀玉命とともに祝詞を奏上する神格として登場する。「天児屋命、布刀玉命を召して、天香山の真男鹿の肩を内抜きに抜きて、天香山の天波々迦を取りて、占合ひ麻迦那波しめて」と記される太占の儀礼を担い、天孫降臨段では邇邇芸命に随伴する五伴緒の一柱として地上に降る。『日本書紀』神代下にも対応する叙述がある。
神話上の父祖は明示されないが、中臣連・藤原氏の祖神として『新撰姓氏録』(弘仁六年・815 年)に系譜が記される。配偶神は天美津玉照比売命とされ、御子神に天押雲根命があり、その後裔から中臣鎌足を経て藤原氏に至る系譜が伝えられる。布刀玉命(忌部氏の祖)と並ぶ祭祀氏族の祖神。
春日大社(奈良市、春日山西麓)に建御雷神・経津主神・比売神とともに祀られ、藤原氏の氏神として神護景雲二年(768 年)の創建以来、絶大な崇敬を受けた。枚岡神社(大阪府東大阪市、河内国一宮、春日大社の元宮)、吉田神社(京都市左京区)など、中臣・藤原氏ゆかりの社に広く祀られる。
天児屋命 あめのこやねのみこと/あめのこやのみこと
一次文献國學院大學 古典文化学事業「神名データベース」天児屋命。
https://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/amenokoyanenomikoto-amenokoyanomikoto/古事記 上巻 天岩戸段
一次文献古事記 上巻 天岩戸段に基づく神格・系譜・登場場面の整理。
神道・神名辞典 天児屋命項
二次資料神道・神名辞典 天児屋命項を参照した神格名・関連文脈の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。