
伝承
北野天神縁起は、京都府京都市上京区を入口にたどる伝承。京都府京都市上京区を代表地点として、寺社縁起・地名由来の文脈で語り継がれる物語を整理する
北野天神縁起は、菅原道真(すがわらのみちざね)が左遷地・大宰府で没した後、御霊(ごりょう)として京の北野に祀られるに至る経緯を絵巻・縁起書として体系化した中世の物語群である。藤原時平(ふじわらのときひら)の讒言により昌泰四年(901 年)に大宰権帥として左遷された道真は、延喜三年(903 年)に大宰府で没する。その後、京では時平一族の急死、清涼殿落雷(延長八年・930 年)等の異変が相次ぎ、天慶五年(942 年)に右京七条二坊の多治比文子(たじひのあやこ)に道真の託宣が下り、北野の右近馬場に祠を建てて慰撫することが命じられた。これを契機に天暦元年(947 年)、北野の地に天満宮(北野天満宮)が創建される。
物語の中核場面は三つで構成される——(一)讒言による左遷と大宰府での落魄死、(二)京における異変・落雷・時平一族の死、(三)多治比文子・近江比良宮の神良種(みわのよしたね)等への託宣と北野天満宮の創建。中世絵巻『北野天神縁起絵巻』は鎌倉期以降に多数の異本が制作され、天神信仰の視覚的展開を担った。御霊信仰から学問神信仰への変容を示す代表例である。
中心比定地は京都市上京区馬喰町の北野天満宮(きたのてんまんぐう)。社殿前の三光門・社殿は桃山時代の建築で国宝指定。境内に道真ゆかりの梅の老樹が並び、二月の梅花祭が著名である。福岡県太宰府市の太宰府天満宮は道真の墓所上に建つ廟所で、京都の北野天満宮と並ぶ天神信仰の中心。全国一万二千余の天満宮の本社的位置を北野・太宰府の両宮が分かち合う。
中世絵巻『北野天神縁起絵巻』承久本(承久元年・1219 年制作、国宝)、弘安本、根津本ほか多数の異本が国宝・重文に指定される。『日本紀略』『扶桑略記』『大鏡』『十訓抄』『古今著聞集』に道真没後の異変譚が累積する。北野天満宮社伝、京都市・京都府の文化財解説資料、日本絵巻物全集等の美術史的解説も基礎参照とされる。
寺社縁起・社寺由緒資料 北野天神縁起
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 北野天神縁起に基づく北野天神縁起の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した北野天神縁起の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。