
伝承
三重県の一目連伝承は三重県を主な舞台として整理する伝承。一目連との関係を持ち、一覧や地図で出典、土地、怪異を結ぶ入口になる。
一目連(いちもくれん)伝承は、三重県桑名(くわな)市多度町(たどちょう)の多度大社(たどたいしゃ)に祀られる神格・天目一箇神(あめのまひとつのかみ)の異称ないし眷属として語られる、片目の龍神(あるいは台風神)の物語である。一目連は伊勢湾(いせわん)周辺で猛烈な暴風を起こし、舟を沈め家を倒すと畏れられる一方、農耕の雨をもたらす両義的な神格として崇敬される。多度山(たどさん)から一夜にして駆け抜けて伊勢湾岸を荒らし、夜明けまでに山に帰る、と伝えられる。柳田國男は『一目小僧その他』で、片目の神格は古代の鍛冶神信仰の零落形であると論じた。
物語は三段に整理される——(一)多度山からの一目連の発進、(二)伊勢湾岸での暴風・洪水の発生、(三)夜明け前の多度山への帰還と鎮静。片目(一目)という身体的欠損は、鍛冶神(金属神)の片目をつぶる神話的職業病、または雷神の片目隠しとも解釈され、天目一箇神への信仰と接続する。同じ伊勢圏の伊雑宮(いざわのみや)、椿大神社(つばきおおかみやしろ)の信仰と並ぶ伊勢民俗圏の代表例。
比定地は三重県桑名市多度町多度の多度大社(北伊勢大神宮とも)。境内に天目一箇神を祀る別宮一目連神社が現存し、毎年五月の上げ馬神事は国指定重要無形民俗文化財となっている。伊勢湾岸(三重・愛知・岐阜)の暴風記録は一目連の去来として民俗的に記述された。
『日本書紀』神代上 第六段(天目一箇神)、『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』「天孫本紀」、『古語拾遺(こごしゅうい)』。延喜式神名帳に「伊勢国桑名郡 多度神社」名神大社として登載。柳田國男『一目小僧その他』、三重県教育委員会編『三重県史 民俗編』。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
三重県の一目連伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、地域の怪異伝承を整理する二次資料。