
伝承
那智烏石伝承は、和歌山県那智勝浦町を入口にたどる伝承。和歌山県那智勝浦町を代表地点として、寺社縁起・地名由来の文脈で語り継がれる物語を整理する
那智烏石(からすいし)伝承は、和歌山県那智勝浦町の熊野那智大社境内に伝わる、神武天皇東征を導いた八咫烏(やたがらす)の伝承と結びつく霊石譚である。神武天皇が大和へ向かう途次、熊野山中で道を失った際、高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)が遣わした八咫烏が先導して熊野から大和の宇陀へ抜ける道を示したと記紀に記される。那智の地では、東征を終えた八咫烏が役目を果たして石と化したのが境内の烏石である、と伝えられる。石は那智大社の宝物として崇敬され、那智の御縣彦社(みあがたひこしゃ)に烏神として祀られる。
物語は三段に整理される——(一)熊野での神武迷走と八咫烏の遣わし、(二)熊野から大和への先導、(三)役目を終えた烏の石化と神格化。日本サッカー協会の三本足烏のシンボル化に至るまで、八咫烏は「導きの神使」として継承される。熊野信仰圏では伊邪那美神を主とする本宮・速玉と並び、那智は滝と烏の聖地として位置づく。
比定地は和歌山県東牟婁郡那智勝浦町の熊野那智大社境内。日本最大級の那智の滝(飛瀧神社御神体)が背後に控え、那智山一帯は熊野古道の終着点として吉野熊野国立公園に含まれる。境内の御縣彦社が八咫烏を祀る摂社。
『古事記』中巻 神武東征段、『日本書紀』神武紀。熊野那智大社社伝、紀伊続風土記、熊野那智大社所蔵『熊野権現御垂迹縁起』。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」関連の文化庁資料にも記述がある。
寺社縁起・社寺由緒資料 那智烏石伝承
一次文献寺社縁起・社寺由緒資料 那智烏石伝承に基づく那智烏石伝承の代表的な典拠整理。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系などを参照した那智烏石伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。