
伝承
陰摩羅鬼伝承は京都府を主な舞台として整理する伝承。陰摩羅鬼との関係を持ち、土地と怪異を結ぶ入口になる。
陰摩羅鬼(おんもらき)伝承は、新たに死んだ者の弔いの怠った亡骸(なきがら)から立ち上る陰気が凝って鳥の姿となる、とされる怪異の譚である。京都の伝承では、寺の堂内に安置された棺の前で僧侶が読経を怠り眠り込むと、棺から黒い鳥が飛び出して堂内を飛び回り、寝ぼけた僧の顔を蹴って消える、と語られる。陰摩羅鬼は中国・宋代の仏教説話に淵源を持ち、日本では平安期以降、僧侶への怠戒の戒めとして伝えられた。鳥山石燕の妖怪絵巻に図像化されて以降、江戸の妖怪文化の中で定型化された。
物語は三段で構成される——(一)新仏(死後間もない遺骸)と安置の場、(二)僧侶の読経怠惰と陰気の鳥への凝結、(三)飛び回りと僧への警告・消失。仏教的戒めの妖怪化として、阿弥陀ヶ峰の手の目伝承と同じ系譜に立つ。「読経を怠るな」「亡骸を粗略に扱うな」という宗教倫理を妖怪の出現で担保する構造である。
中心となる伝承圏は京都府京都市の阿弥陀ヶ峰・東山の寺町、および中世以来の各地の寺院。京都の鳥辺野(とりべの)、奈良の佐保(さほ)など、古代以来の葬送地と隣接する伝承圏で語られた。
中国・宋代『清尊録(せいそんろく)』所載の類話が原型と推定される。日本では『元亨釈書(げんこうしゃくしょ)』『沙石集(しゃせきしゅう)』など中世仏教説話集に類話が収められると伝えられる。鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(安永八年・1779 年)に「陰摩羅鬼」の図と詞書がある。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
陰摩羅鬼伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/陰摩羅鬼伝承 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
陰摩羅鬼伝承の概要に関する二次整理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B0%E6%91%A9%E7%BE%85%E9%AC%BC%E4%BC%9D%E6%89%BF