
伝承
大阪府の葛の葉伝承は、信太妻の語りと狐女房譚を結ぶ伝承。葛の葉 entity、狐 motif、土地を分けて辿れる。
大阪府の葛の葉(くずのは)伝承は、和泉国 信太の森(しのだのもり、現在の大阪府和泉市信太山周辺)を舞台とする、白狐の女房譚と陰陽師 安倍晴明(あべのせいめい)の出生譚を結ぶ伝承群である。平安期、安倍保名(あべのやすな)が信太の森で猟師に追われていた白狐を救い、その狐が葛の葉という女に化けて妻となり、童子(後の安倍晴明)を産むが、ある日子に正体を見られて森へ帰る、という筋を取る。別れに際して葛の葉が障子に書き残した「恋しくば訪ね来てみよ和泉なる信太の森の恨み葛の葉」の歌が伝説の核心を成す。
物語の構造は四段で成る——(一)保名による白狐の救出、(二)狐女房との結婚と童子の誕生、(三)正体露見による別離と歌の書き置き、(四)成長した安倍晴明が母の正体を知り、陰陽師として大成する。狐女房譚(異類婚姻譚)の典型に陰陽道の高名な実在人物 安倍晴明(921-1005)の出生伝説を接続することで、信太の森の地域伝承と平安京の宮廷文化を結ぶ重層構造を取る。
比定地は大阪府和泉市の信太森葛葉稲荷神社(しのだのもりくずのはいなりじんじゃ)。同社は葛の葉が祀られた稲荷社として近世以降に整備され、葛の葉伝承の主要伝承地となる。和泉国府の隣接地で、古代から信太・和泉一帯の狐信仰圏に位置していたと伝えられる。
浄瑠璃『蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)』(享保 19 年、1734 年初演、竹田出雲作)が葛の葉伝説を芸能として広めた決定的な原典である。先行する説話としては『簠簋抄(ほきしょう)』『安倍晴明物語』など中世の安倍晴明伝説集に類話が見える。大阪府和泉市の郷土誌、信太森葛葉稲荷神社の社伝、国際日本文化研究センターの説話研究にも詳しい。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
大阪府の葛の葉伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベースを、osaka-kuzunoha-legend の detail source-readiness pass の一次資料として参照。
日本妖怪大事典
村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、地域の怪異伝承を整理する二次資料。
日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典を、名称・地域差・類縁語を確認する二次資料として参照。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。