
狐
葛の葉は、大阪府和泉市周辺の信太妻の語りと重なる狐の怪異。狐女房譚として、土地、伝承、出典を分けて辿れる。
葛の葉(くずのは)は、和泉国信太の森(現・大阪府和泉市信太山)に棲んだとされる白狐の化身。命を救われた礼に人間の娘の姿で安倍保名(あべのやすな)と結ばれ、後の陰陽師 安倍晴明を生んだとされる狐母。「子別れ」の場面と障子に書き残したとされる別れの歌「恋しくば訪ねきて見よ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」で広く知られる。
代表的な筋は『簠簋抄(ほきしょう)』『簠簋内伝』など中世の陰陽道書に記され、後に浄瑠璃『信田妻』(1674 年)、竹田出雲『蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)』(1734 年初演)として劇化された。和泉国信太の森で猟師に追われた白狐を安倍保名が助け、その狐が娘葛の葉に化けて保名の妻となり、童子(後の安倍晴明)を生むが、正体を見破られて信太の森へ帰る——という筋が定型である。大阪府和泉市の信太森葛葉稲荷神社が伝承地。
中世陰陽道書『簠簋内伝金烏玉兎集』に晴明の出自として狐母譚が現れ、近世以降は浄瑠璃『信田妻』『蘆屋道満大内鑑』、歌舞伎『芦屋道満大内鑑』四段目「葛の葉子別れの段」として劇化が重ねられた。鳥山石燕『画図百鬼夜行』および『今昔画図続百鬼』系列の絵本にも図像が継承される。国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」と村上健司編著『日本妖怪大事典』に整理されている。
信太の森のほか、京都府京都市上京区の晴明神社、奈良県奈良市の安倍文殊院など、安倍晴明の縁起地で葛の葉伝承が連動して語られる。近縁の白狐譚として、「玉藻前」(鳥羽院をたぶらかした九尾の狐)、「狐忠信」(『義経千本桜』)、信州の「飯綱」「管狐」など、狐の母性・憑依・術の系譜の中で複合的に位置づけられる。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
葛の葉に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベースを、osaka-kuzunoha の detail source-readiness pass の一次資料として参照。
日本妖怪大事典
村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、各地の妖怪名と伝承を整理する二次資料。
日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典を、名称・地域差・類縁語を確認する二次資料として参照。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。