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伝承

砂かけ婆伝承

公開検証済みすなかけばばあでんしょう

砂かけ婆伝承は奈良県を主な舞台として整理する伝承。砂かけ婆との関係を持ち、土地と怪異を結ぶ入口になる。

あらすじ

砂かけ婆(すなかけばば)伝承は、奈良県の山道や寺社の参道、村はずれの林道で、人影のないところから突如として砂を浴びせかけてくる老婆姿の怪異の譚である。被害者が驚いて見上げても誰の姿もなく、ただ頭から肩へとざらざらと砂が降りかかる。実害は少なく、驚きと不快感を与えるだけの「いたずら型」妖怪として位置づけられ、奈良の春日山や生駒山の麓、神社の鎮守の森で語られた、と伝えられる。砂かけ婆との関係を持つ伝承群として、土地と怪異を結ぶ民俗観念の典型例である。

主な場面

物語は二段で構成される——(一)人気のない夜道・参道での砂の降下、(二)見上げても姿のない不在の現存。物語的な起承転結を持たず、「砂を浴びる」という一回限りの体験そのものが核となる、目撃/体感型の妖怪に属する。同類の砂まき狸・砂撒き婆が西日本に広く分布し、塗壁・送り犬と並ぶ「夜道の境界怪異」の一群を成す。

舞台・伝承地

中心となる伝承圏は奈良県奈良市の春日大社・春日山原始林周辺、生駒山地の参道、および大和高原の村境の林道。山岳信仰の聖域と里の境界を画す地に多く語られ、奈良の春日信仰圏と密接に交差する。

出典

柳田國男『妖怪談義』(昭和三十一年・1956 年)に「すなかけばば」項目あり。奈良県教育委員会編『奈良県史 民俗編』、関西民俗誌に類話の収録があると伝えられる。江戸期の妖怪絵巻には独立図像を持たない口承伝承として継承され、近代の水木しげる作品で全国的に知られた。

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