
伝承
筑波山のガマ伝承は茨城県つくば市を代表地点として整理する伝承。筑波山の信仰と蝦蟇の民俗的イメージを結ぶ地域伝承として語られ、出典、土地、関連エンティティを分けてたどれる。
筑波山(つくばさん)のガマ伝承は、茨城県つくば市の筑波山に棲むとされる蝦蟇(がま、ヒキガエルの俗称)の妖怪譚・薬餌譚で、修験道と民俗医療の交差する地域伝承である。筑波山は古来、男体山(なんたいさん、877m)と女体山(にょたいさん、877m)の二峰を持つ霊山として、伊邪那岐神(いざなぎのかみ)と伊邪那美神(いざなみのかみ)の夫婦神信仰の聖地である。山中の岩窟・洞穴には四六(しろく、前足が四指・後足が六指)の蝦蟇が棲むとされ、その油(ガマの油)は刀傷・火傷・痔疾に霊験あらたかな薬として、江戸期以来「四六のガマの油売り」の口上芸で全国に知られた。筑波山との関係を持つ山岳信仰と民俗医療が習合した、関東随一の薬餌伝承である。
伝承の核は三段で構成される——(一)筑波山の霊山性(伊邪那岐・伊邪那美夫婦神信仰)と山中岩窟の蝦蟇の棲息、(二)四六のガマからの油の採取(鏡の前で踊らせて汗を絞る等の口上)、(三)江戸期の見世物・行商による全国流布と薬効譚の定着。実態は、ヒキガエル科のニホンヒキガエルの耳腺分泌物(ブフォトキシン含有)を利用した近世民間薬で、修験道の薬餌術と結びついて筑波山修験の名物となった。
比定地は茨城県つくば市筑波の筑波山(男体山・女体山)、筑波山神社(祭神:伊邪那岐神・伊邪那美神)、筑波山中の岩窟(弁慶七戻り・大仏岩・出船入船など)。江戸期は江戸郊外の修験霊山として参詣者を集め、ガマの油の口上は浅草・上野の見世物として隆盛した。現在も筑波山ロープウェイ・ケーブルカー沿線で「四六のガマ口上」が観光資源として継承される。
近世地誌『新編常陸国誌』『筑波山名跡記』、筑波山神社社伝。江戸後期の見世物資料『江戸見世物資料集成』、井上円了『妖怪学講義』。茨城県教育委員会編『茨城県史 民俗編』、つくば市史、関東民俗誌に詳しい。
常陸国伝説資料
一次文献常陸国伝説資料に見える筑波山のガマ伝承の代表的な典拠。
日本伝説大系
二次資料日本伝説大系など、筑波山のガマ伝承の伝承差や地域的受容を整理する二次資料。
あなたの縁
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