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伝承

釣瓶落とし伝承

公開検証済みつるべおとしでんしょう

釣瓶落とし伝承は京都府を主な舞台として整理する伝承。釣瓶落としとの関係を持ち、土地と怪異を結ぶ入口になる。

あらすじ

釣瓶落(つるべおとし)伝承は、京都府の山中の大樹の上から、突然鬼や妖怪の首が釣瓶(つるべ、井戸から水を汲む桶)のように縄で吊り下がって落ちてくる、とされる怪異譚である。京都の鞍馬山・愛宕山の山道で、夜更けに大杉や大樫の下を通ると、頭上から「釣瓶落とそうか、人取って食おうか」と声がして、毛むくじゃらの巨大な顔が降りてくる。逃げ遅れた者は引き上げられて樹上で食われる、と伝えられる。鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(安永八年・1779 年)に「釣瓶落」「釣瓶火」として図像化され、京都山中の代表的怪異として近世怪談文化に定着した。

主な場面

物語は三段で構成される——(一)夜の山道と巨木の下の通過、(二)樹上からの呼びかけと首・顔の降下、(三)逃走の可否と捕食の結末。釣瓶(縄付きの桶)という日常具を巨大化・異化して恐怖の装置とする「日用品の妖怪化」構造で、井戸文化と山岳怪異の交差点に立つ。釣瓶火(つるべび)の妖怪・首吊り山の怪と隣接する系譜である。

舞台・伝承地

中心となる伝承圏は京都府京都市左京区の鞍馬山、右京区の愛宕山、および丹波の山道。鞍馬寺の天狗信仰と隣接し、愛宕信仰の山岳怪異の文脈にも置かれる。京都山城の山岳怪異群を代表する物語の一つである。

出典

鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(安永八年・1779 年)に「釣瓶落」「釣瓶火」の図と詞書。京都府教育委員会編『京都府史 民俗編』、丹波民俗誌に類話の収録があると伝えられる。近世京都の怪談集『諸国百物語』『古今百物語評判』にも類縁の樹上怪異が散見される。

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