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伝承

姑獲鳥伝承

公開検証済みうぶめでんしょう

姑獲鳥伝承は京都府を主な舞台として整理する伝承。姑獲鳥との関係を持ち、土地と怪異を結ぶ入口になる。

あらすじ

姑獲鳥(うぶめ)伝承は、出産時に死亡した妊婦が産女(うぶめ)となって現れ、夜道で通行人に赤子を抱かせる、とされる怪異譚である。京都府の伝承では、夜の橋詰や辻で、白い装束で泣きながら立つ女が「この子を抱いてください」と赤子を差し出す。受け取った者が一定の作法(南無阿弥陀仏を唱える・刀の鞘を当てる等)を守れば赤子は石・木の葉に変じて女は感謝して消え、怠れば赤子は重さを増して動けなくなり死に至る、と伝えられる。中国の姑獲鳥(こかくちょう、夜行性の怪鳥)に淵源を持つとされ、日本では平安期以降、産死の穢れと結びついて女性怪異として変容した。

神話の構造

物語は三段で構成される——(一)橋詰・辻での女との出会いと赤子の託付、(二)抱き受けと禁忌作法の遵守可否、(三)赤子の正体(石・木の葉)の露見と女の救済。産死・難産という女性身体の極限と、辻・橋という境界空間が交差する点で、日本中世以来の境界怪異の典型である。京都の四条河原町・五条大橋周辺で頻出し、産女との関係を持つ民俗観念が広く伝わる。

舞台・伝承地

中心となる伝承圏は京都府京都市内の橋詰・辻・河原。鴨川(かもがわ)の五条大橋、四条大橋、桂川の橋周辺で多く語られた。同類の伝承が大阪・奈良・東日本にも広く分布し、関東では「うぶめ」「夜泣き婆」、九州では「うぐめ」と呼ばれる。

出典

中国『本草綱目』『酉陽雑俎(ゆうようざっそ)』所載の姑獲鳥が原型。日本では『今昔物語集』巻二十七、『沙石集』に類話の収録あり。鳥山石燕『画図百鬼夜行』(安永五年・1776 年)に「姑獲鳥(うぶめ)」の図と詞書。『古今著聞集』、京都府教育委員会編『京都府史 民俗編』に詳しい。

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