宇和島の牛鬼伝承の分類ビジュアル

伝承

宇和島の牛鬼伝承

公開検証済みうわじまのうしおにでんしょう

宇和島の牛鬼伝承は愛媛県を主な舞台として整理する伝承。牛鬼との関係を持ち、土地と怪異を結ぶ入口になる。

あらすじ

宇和島の牛鬼(うしおに)伝承は、愛媛県南予地方の海岸部および山間部で、牛の頭と鬼の身体、もしくは長い首と剣のような尾を持つ巨大な怪物が、淵・沼・峠に棲んで人を喰らうとされる怪異譚である。宇和島藩領(伊予国宇和郡)では、近世以来、海から上陸して里を荒らす牛鬼が伝えられ、藩の侍や修験者が法力と剣で討伐する英雄譚と結びついた。同地の祭礼「宇和島和霊大祭(うわじまわれいたいさい)」では、巨大な牛鬼の山車(牛鬼山車、うしおにだし)を曳いて練り歩く神事が江戸期から続き、伝承上の怪異が祭礼の主役へと反転した稀有な事例である。牛鬼との関係を持つ伝承群が南予民俗の核を成す。

主な場面

物語は三段で構成される——(一)海岸・淵への牛鬼の出現と人馬への加害、(二)退治の英雄(武士・修験者)の登場、(三)退治後の慰霊と祭礼化(牛鬼山車の起源説明)。古典的な「怪物退治」型の物語が、現在も生きた祭礼の起源縁起として機能する点で、佐賀・大分の唐獅子祭、長崎の龍踊と並ぶ「祭礼起源としての怪物退治譚」の典型である。

舞台・伝承地

比定地は愛媛県宇和島市を中心とする南予地方(愛南町・西予市・八幡浜市など)。宇和島和霊神社(うわじまわれいじんじゃ)の和霊大祭(毎年七月二十二〜二十四日)で牛鬼山車が街中を巡行する。土佐側(高知県西部)にも類話があり、四国西南部に共通する民俗観念である。

出典

『南予民俗誌』、愛媛県教育委員会編『愛媛県史 民俗編』、宇和島市教育委員会 関連資料。宇和島藩の藩政史料、和霊神社社伝、宇和島藩主伊達家の文書類にも牛鬼譚への言及があると伝えられる。江戸期の地方絵巻にも牛鬼の図像が見える。

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