
海の怪異
赤ゑいの魚は千葉県を主な手がかりとして整理する怪異。海上の島のような大魚として語られる怪異として語られ、対応する伝承と地図上の土地へつながる。
赤ゑいの魚(あかえいのうお)は、海上に島のように浮かぶ巨大な赤鱏(あかえい)の怪異。背中に砂が積もって草木さえ生え、漁師や船人が島と見誤って上陸し、火を焚くと驚いて沈み、人を海中に引き込むとされる。近世日本の海上怪異の代表格。
代表的な筋は、千葉県房総半島の沖・伊豆諸島近海・四国沖などで、地図にない島を見つけて上陸すると、その島が突然動き出して海中に沈む、というもの。海中の巨大生物を島と見誤るという主題は、東西の海洋民俗に普遍的に見られる「島亀(ジャスコニウス)」「アスピドケロン」など世界規模の海洋怪異と系譜を共有する。
近世の地誌『甲子夜話』(松浦静山、19 世紀前半)、『東遊記』(橘南谿、1795 年)に海上の巨大魚譚が散見される。漢籍では『山海経』『荘子』に類例があり、近世日本の本草学者・地誌家がこれを翻案して房総・伊豆沖の海上怪異として記録した。近代以降は村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)と国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に整理される。
島と見誤る海洋怪異として「海座頭」「化け鯨」「巨鯨」と系譜を共有する。鱏の怪異としては「鱝(えい)」を主題とする漁村譚と接続する。千葉県館山市・南房総市の海岸郷土資料、伊豆諸島の漁村民俗に類例が点在する。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
赤ゑいの魚に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、各地の妖怪名と伝承を整理する二次資料。