
鬼
黒塚は福島県を主な手がかりとして整理する怪異。安達ヶ原の鬼女譚に関わる怪異として語られ、対応する伝承と地図上の土地へつながる。
黒塚(くろづか)は、福島県二本松市の安達ヶ原に伝わる鬼婆の怪異。旅人を泊めては殺してその肉を食らうとされた老婆が、後に正体を見破られて退治されたという伝承で、能楽『安達原(黒塚)』の題材となった。観世寺境内には鬼婆を葬ったとされる塚(黒塚)が現存する。
代表的な伝承では、東光坊祐慶という旅僧が安達ヶ原の一軒家に宿を借りるが、家主の老婆が留守の間に閉ざされた奥の間を覗き、夥しい人骨を発見する。逃げる僧を鬼の姿で追う老婆を、僧が如意輪観音の力で退治するという筋で語られる。物語の原型は古く、平兼盛の和歌「みちのくの安達ヶ原の黒塚に鬼籠もれりと聞くはまことか」(『大和物語』ほか)が早い言及とされる。
平兼盛の和歌(十世紀後半)が古い文献的言及にあたり、世阿弥の作とされる能『安達原(黒塚)』が物語型を確立した。江戸期には浄瑠璃『奥州安達原』など歌舞伎・浄瑠璃作品にも展開する。観世寺(二本松市)に黒塚と岩屋が現存し、現地伝承として継承される。村上健司編著『日本妖怪大事典』および国際日本文化研究センター怪異・妖怪伝承データベースにも独立項として整理される。
黒塚の鬼婆を「岩手」と呼ぶ系統(『奥州安達原』)があり、能・歌舞伎・浄瑠璃で名が揺れる。鬼婆の正体を山姥や元乳母とする説、観世寺の塚を実際の墳墓に比定する説など、後代の解釈にも幅がある。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
黒塚に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、各地の妖怪名と伝承を整理する二次資料。
黒塚 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
福島県二本松市安達ヶ原の鬼婆伝承「黒塚」に関する二次整理。能楽『黒塚』(観世流『安達原』)、平兼盛の和歌、観世寺の塚を含む。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。