
異人
オッケルイペは北海道を主な手がかりとして整理する怪異。アイヌの語りに見える異形として語られ、対応する伝承と地図上の土地へつながる。
オッケルイペは、北海道のアイヌ口承伝承に見える異形の存在として伝えられる怪異。アイヌ語の語彙に由来する名で、人と動物の境界、あるいは森と村の境界に現れる存在として語られたと伝えられる。アイヌのカムイ(神/自然霊)観の中に位置づけられる怪異圏に連なる。
典型的な筋は、夜の森・川辺・人里の境で異様な気配や声を感じ、姿は明瞭でないが何者かが居る、と感じさせる、というもの。アイヌの口承では、自然界に偏在する善悪の判じ難い存在群(カムイの一群)の中に、人と異なる挙動を示す者として位置づけられたと伝えられる。明瞭な姿形よりも「気配・声・名」によって認識される怪異という性格を持つ。
知里真志保『アイヌ語入門』『アイヌ民譚集』、金田一京助『アイヌ叙事詩ユーカラ集』など、アイヌ口承伝承の研究文献に類例が収録される。村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)にもアイヌ系怪異として記述される。アイヌ民族博物館の口承記録、国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」にも事例が見える。
アイヌの口承怪異群として、コロポックル(小人)、ニタッ・ウンクル(湿地の人)、ケナシ・ウンクル(森の人)など、自然環境と結びつく異形の存在と主題を共有する。和人系の妖怪体系とは別系統の世界観に属し、本州の妖怪事典に取り込まれる際は固有の文脈を保つ必要があると論じられてきた。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
オッケルイペに関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、各地の妖怪名と伝承を整理する二次資料。