
妖怪
絡新婦は静岡県を主な手がかりとして整理する怪異。蜘蛛が女に化す筋で語られる怪異の性格を持ち、対応する伝承と土地へつながる。
絡新婦(じょろうぐも)は、年を経た蜘蛛が美女に化けて男を誘惑し、糸で絡め取って喰らうとされる怪異。本来「女郎蜘蛛」(オオジョロウグモ、Nephila clavata)の和名でもあり、生物と妖怪の名が共有される代表例。静岡県伊豆地方、栃木県日光、各地の滝壺などに伝承地が分布する。
山中の滝壺・古寺・廃屋に出没し、美しい女に化けて男を呼び寄せ、長い髪のような糸で絡めて水底に引きずり込む、あるいは蜘蛛の巣に絡め取って血肉を吸うという筋が典型である。静岡県伊豆市の浄蓮の滝、栃木県日光の華厳の滝、長野県北信の蜘蛛淵などに「滝壺の絡新婦」伝承が伝わり、地元の口承・民話として継承されている。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』(1776 年)に「絡新婦」の図像があり、近世怪談集『太平百物語』『新著聞集』にも類話が見える。仏教説話集の蜘蛛・葛城神話の蜘蛛とも交差し、能「土蜘蛛」、歌舞伎「土蜘」、源頼光の土蜘蛛退治譚(『古今著聞集』巻十七)の系譜にも連なる。国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に各地の事例が整理されている。
近縁の蜘蛛怪異として、源頼光が大和葛城山で退治した土蜘蛛(『日本書紀』神武紀の「土蜘蛛」とは別系)、平安京の蜘蛛塚伝承、岐阜・愛知の山中に出る大蜘蛛譚がある。変身する女性の怪異の系譜では、清姫(蛇)、橋姫(鬼女)、雪女と並置されることが多い。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
絡新婦に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/絡新婦 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
絡新婦の概要に関する二次整理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%A1%E6%96%B0%E5%A9%A6