
狐
飯綱は、長野県の飯縄信仰や狐使いの語彙と重なる怪異。日文研 DB と妖怪事典を手がかりに、狐 motif と地域文脈を分けて辿れる。
飯綱(いずな)は、信州飯縄山(飯綱山、標高 1,917m、長野県長野市)を本拠とする狐の眷属の妖怪、および飯綱信仰における使役神。竹筒に入る小型の狐で、術者の命で他人に憑くとされる点は管狐と共通するが、飯縄三郎天狗を本尊とする飯綱権現信仰と結びついた「飯綱の法」として体系化された憑き物術である点に独自性がある。
飯綱の法は、飯縄山で行を積んだ修験者・山伏が授かるとされ、戦国期には武田信玄・上杉謙信ら戦国大名も信仰したと伝えられる。長野県北部(長野市・飯山市・中野市)と新潟県上越地方を中心に、術者が飯綱を放って他家へ憑かせ、病や災いを起こすという筋で語られる。江戸期以降は江戸・関東にも飯綱信仰が広まり、東京都八王子市の高尾山薬王院では飯縄権現を本尊として現在も祀られる。
近世の修験道書や随筆『甲子夜話』(松浦静山、19 世紀前半)、『耳袋』(根岸鎮衛、18 世紀末〜19 世紀初)などに飯綱の法と憑き物事例が記録される。柳田國男『山島民譚集』(1914 年)が憑き物筋の民俗学的整理を行い、長野県史・郷土史料に各地の事例が集成される。国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」と村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)に項目立てされている。
飯綱と管狐はしばしば同一視され、信濃国・甲斐国の境界では両者の名が混用される。近縁の憑き物として「犬神」(四国・九州)、「狐持ち」(山陰・山陽)、「外道」(九州)があり、飯綱は北信濃と修験道の結節点として位置づけられる。本尊の飯縄権現は、白狐に乗った烏天狗形で表され、高尾山薬王院・諏訪大社周辺・戸隠神社の周縁に祠が点在する。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
飯綱に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベースを、nagano-izuna の detail source-readiness pass の一次資料として参照。
日本妖怪大事典
村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、各地の妖怪名と伝承を整理する二次資料。
日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典を、名称・地域差・類縁語を確認する二次資料として参照。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。