
妖怪
塗壁は福岡県を主な手がかりとして整理する怪異。道をふさぐ壁のような怪異の性格を持ち、対応する伝承と土地へつながる。
塗壁(ぬりかべ)は、夜道を歩く人の行く手に突然見えない壁が立ちふさがり、進めなくする怪異。福岡県遠賀郡(現・遠賀町・芦屋町周辺)の海岸沿いで報告された地域怪異が広く知られ、近代以降は九州北部の代表的妖怪として整理された。
代表的な筋は、夜の道を歩いていると突然前に進めなくなり、棒で下方を掃うようにすると壁が消える、というもの。横に回り込もうとしても壁は続き、上を試みるのは無効で、下を掃うのが有効とされる。福岡県遠賀郡の漁村で語られた海辺の夜道の怪異が代表で、夜の見えない障害という民俗的な恐怖を妖怪化した存在として位置づけられる。
柳田國男『妖怪談義』(1956 年)に「塗壁」として福岡県遠賀郡の事例が採録されている。1700 年前後(元禄期)に成立したと推定される狩野家伝来の妖怪絵巻(米国・ブリガムヤング大学所蔵、2007 年に湯本豪一らにより同定)に「ぬりかべ」と題する獣面三つ目の図像が見え、絵画資料としての古層も確認された。国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」と村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)に整理されている。
近縁の進行を妨げる夜道怪異として「衾(ふすま)」(佐渡)、「野衾(のぶすま)」(関東)、「塗坊(ぬりぼう)」(東北の一部)がある。狩野家絵巻の三つ目獣面像は近世の他絵巻にも継承され、近代の柳田採話と図像が結ばれることで現代の妖怪像が成立した。福岡県遠賀町には塗壁伝承地を示す案内が現地に残る。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
塗壁に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/塗壁 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
塗壁の概要に関する二次整理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%97%E5%A3%81