
伝承
塗壁伝承は福岡県を主な舞台として整理する伝承。塗壁との関係を持ち、土地と怪異を結ぶ入口になる。
塗壁(ぬりかべ)伝承は、夜道を歩いていると突然行く手に見えない壁が立ち塞がり、前へ進めなくなるとされる怪異の譚である。福岡県遠賀(おんが)地方の漁夫が「夜釣りの帰りに、まっすぐ歩いていたはずなのに、ぱたりと足が止まって前に行けなくなる。手を伸ばすと壁のような何かに触れるが、回り込もうとしてもいくらでも続いている。困って棒で下を払うと、ようやく抜けられた」と語ったという聞き取りが柳田國男によって記録された。下を払えば抜けられるが、上を払っては駄目だ、というのが地元の口伝とされる。
物語は三段で構成される——(一)夜道の進行と突然の停止、(二)見えない壁の手触りと回避の不可能性、(三)下を払う作法による突破。視覚的にも音響的にも明確な手がかりを持たない、純粋に「進めない」という運動の阻害として顕現する怪異で、垢嘗・ぬらりひょんと同じ「目撃/体験の妖怪」型に属する。
中心となる伝承圏は福岡県遠賀郡・北九州市の海岸部漁村と、筑後地方の田畑沿いの夜道。同類の「塗坊(ぬりぼう)」「壁塗り」が大分県・佐賀県・熊本県にも分布し、北部九州に共通する境界怪異の一群を成す。
柳田國男『妖怪談義』(昭和三十一年・1956 年)の「ヌリカベ」項目に遠賀地方の聞き取りが収録される。福岡県教育委員会編『福岡県史 民俗編』、佐脇嵩之『百怪図巻』にも先行する「ぬりかべ」の図像があるが、現在語られる像は柳田の整理と水木しげるの再キャラクター化に多くを負う。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
塗壁伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/塗壁伝承 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
塗壁伝承の概要に関する二次整理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%97%E5%A3%81%E4%BC%9D%E6%89%BF