
妖怪
送り犬は岐阜県を主な手がかりとして整理する怪異。山道で人の後をつける犬の怪異の性格を持ち、対応する伝承と土地へつながる。
送り犬(おくりいぬ)は、夜の山道を歩く者の後ろを、一定の距離を保ってどこまでも付いてくる犬の怪異。襲うことはなく、転んだ瞬間に飛びかかって食い殺すとも、無事に送り届ければ家の戸口で去るとも語られる。岐阜県・長野県・関東甲信の山道に広く分布する民俗怪異。
代表的な筋は、夜の峠・山道を一人で歩いていると、後ろに犬の足音が付いてきて、歩く速さに合わせる、というもの。決して転んではならず、転べば襲われるとされ、もし転んでも「ああ、よく休んだ」と独り言を言えば襲われないという呪的対処法が伴う。家まで送り届けてくれた場合には、戸口で握り飯や草鞋の片方を与えて礼とする慣習が報告される。岐阜県飛騨地方、長野県木曽地方、群馬県・栃木県の山村に類話が集中する。
柳田國男『妖怪談義』『山島民譚集』に送り犬・送り狼の事例が体系的に採録されている。岐阜県・長野県・群馬県の郷土資料に分布が記録され、特に飛騨・美濃国境の山地は伝承地として知られる。鳥山石燕の図像群には含まれず、純然たる民俗怪異として整理される。国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」と村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005 年)に体系化されている。
近縁の動物怪異として「送り狼(おくりおおかみ)」(関東以北の山地)、「送り雀」「送り提灯」と「送り~」型の夜道怪異群を構成する。地方差として、東北では狼を主体とする「送り狼」、岐阜・長野では犬を主体とする「送り犬」、北関東では両者が混在する。山犬・狼が古くは山の神の眷属とされたことから、送り犬は山の神の見守り使いとする民俗解釈も伝わる。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
送り犬に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/送り犬 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
送り犬の概要に関する二次整理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%81%E3%82%8A%E7%8A%AC