
怪火
不知火は熊本県を主な手がかりとして整理する怪異。海上に見える怪火として語られる現象の性格を持ち、対応する伝承と土地へつながる。
不知火(しらぬい)は、九州西部の有明海・八代海(不知火海)の沖合に旧暦七月晦日前後の闇夜に見える、無数の灯火が連なって明滅する怪火現象。古代から「景行天皇が筑紫国へ赴く際の道しるべになった火」として知られ、現在の熊本県・福岡県・佐賀県の海岸から眺められる。
『日本書紀』景行天皇紀十八年五月の条に、天皇が筑紫国巡幸の途中、火の国(肥後国)の海上で見えた火を道しるべに上陸したことから国名を「火国」と名付けたとあり、これが不知火の最古層の記事と解される。代表的な観望地は熊本県宇城市三角町・八代市・天草市と佐賀県有明海沿岸で、近世以降は「親火(おやび)」と呼ばれる本火が現れ、左右に子火(こび)が連なる現象として記録される。光学的には海面と海上空気層の温度差による光の屈折(蜃気楼)と説明される。
『日本書紀』景行天皇紀(720 年成立)、『肥後国風土記』逸文に不知火の記事が見える。近世の地誌『肥後国誌』『八代郡誌』に観望記録が体系的に整理された。文部省の天然記念物指定の検討対象とされた経緯があり、現在は熊本県宇城市三角町に不知火観望公園が整備される。国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」と熊本県・八代市の郷土資料に体系化されている。
怪火現象として「狐火」「鬼火」「人魂」と並置されるが、不知火は集団的・整列的に明滅する点で他の怪火と区別される。同じ九州では「霊火(ばけび)」(島原半島)、「鬼火」(天草)と地域呼称が分岐する。地名「不知火町」(旧・熊本県宇城郡)、相撲の最高位を意味する「不知火型」の土俵入り(横綱不知火光右衛門に由来)など、文化全般に名が継承される。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
不知火に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/不知火 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
不知火の概要に関する二次整理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E7%9F%A5%E7%81%AB