
獣の怪異
野衾は東京都を主な手がかりとして整理する怪異。夜空を飛ぶ獣のような怪異として語られ、対応する伝承と地図上の土地へつながる。
野衾(のぶすま)は、夜空を飛んで人や火に襲いかかるとされる獣型の怪異。鳥山石燕『画図百鬼夜行』に図入りで記され、ムササビあるいはモモンガが年を経て化けたものとも伝えられる。提灯の火を吹き消す、人の顔に被さって息を奪うなどの行為で語られる。
代表的な伝承では、夜道を行く者の灯りを消す、あるいは樹上から滑空して人の頭部や顔を覆い、息を吸う・声を奪うといった被害を与えるとされる。東京都八王子市周辺の山地、関東山地の樹林で類話が伝わる。江戸期の博物学的記述ではムササビの夜行性が怪異化したものとして扱われた。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』(安永五年、1776 年)の収録が文献初出として広く知られる。本草学の『和漢三才図会』(寺島良安、1712 年)にも野衾=鼯鼠の項があり、江戸期の博物学と怪異の境界に位置する。村上健司編著『日本妖怪大事典』、国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースに整理される。
ムササビ・モモンガの夜の滑空が怪異化したものとされる一方、夜衾(よぶすま)と表記する系統、布団状の妖怪として描かれる系統など、図像の揺れが大きい。動物の老獣化型の妖怪としては化け猫・古狐と並列される。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
野衾に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
村上健司編著『日本妖怪大事典』(角川書店、2005年)など、各地の妖怪名と伝承を整理する二次資料。
野衾 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
鳥山石燕『画図百鬼夜行』に採録される夜空を飛び人に被さる獣型怪異「野衾」に関する二次整理。