
日本神話
火之夜芸速男神は、火神系譜に位置づける神格。火之迦具土神に連なる名を持つ火神として、火の荒ぶる側面を補う
火之夜芸速男神(ひのやぎはやおのかみ)は、『古事記』神生み段に記される火神。火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)の異名・別名として記される神格で、火の荒ぶる速やかな働きを示す側面を担う。神生みの結末で伊邪那美命の死をもたらした火神の一名。
『古事記』上巻 神生み段に「火の神、名は火之夜芸速男神、亦の名は火之炫毘古神、亦の名は火之迦具土神を生みたまひしに因りて、美蕃登(みほと)見焦かえて病み臥して坐しき」と記される。伊邪那岐神・伊邪那美神の神生みの最後に位置する火神の誕生場面で、火之夜芸速男神・火之炫毘古神・火之迦具土神の三名が同一神格の三名として並べられる。伊邪那美命が陰部を焼かれて身罷る原因となった神格である。
父は伊邪那岐神、母は伊邪那美神。同神異名として火之炫毘古神(ひのかかびこのかみ)・火之迦具土神があり、火神の働きの三側面(速さ・輝き・燃焼)を表す名と理解される。死後、伊邪那岐命に十拳剣で斬られた際、その血と体から多くの神格が成り、樋速日神(ひはやひのかみ)・建御雷之男神ら剣・水・山の神々の祖となった。
火之迦具土神を主祭神とする秋葉神社(静岡県浜松市天竜区春野町、総本宮)、愛宕神社(京都市右京区、総本宮)の祭祀の中で、火之夜芸速男神の名は別名として記憶される。火伏せ・防火の守護神としての信仰は迦具土神名で広く展開するが、火之夜芸速男神の名は神生み段の原典に即した古層の名として、神道祭祀の祝詞や系譜資料に伝えられる。
火之夜芸速男神 ひのやぎはやをのかみ/ひのやぎはやおのかみ
一次文献國學院大學 古典文化学事業「神名データベース」火之夜芸速男神。
https://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/hinoyagihayaonokami/古事記 上巻 神生み
一次文献古事記 上巻 神生みに基づく神格・系譜・登場場面の整理。
神道・神名辞典 火之夜芸速男神項
二次資料神道・神名辞典 火之夜芸速男神項を参照した神格名・関連文脈の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。