
日本神話
宇摩志阿斯訶備比古遅神は、別天神に位置づける神格。天地初発に現れる別天神として、葦の芽生えと生成の場面を結ぶ
宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)は、『古事記』『日本書紀』の冒頭に記される独神(ひとりがみ)。天地開闢直後、国土がまだ漂う油のごとくであったときに、葦の芽が萌え上がるように成った生成神格。神世七代の前段、別天つ神五柱の四番目に位置する。
『古事記』上巻冒頭に「国稚く浮ける脂の如くして、海月なす漂へる時に、葦牙(あしかび)の如く萌え騰る物に因りて成りませる神の名は、宇摩志阿斯訶備比古遅神」と記される。『日本書紀』神代上 第一段一書にも対応する叙述があり、葦の芽の生命力を神格化した存在として位置づけられる。出現後、身を隠したと記される。
独神として配偶神を持たない。同じ別天つ神(ことあまつかみ)の系譜には、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)・高御産巣日神・神産巣日神・天之常立神(あめのとこたちのかみ)があり、宇摩志阿斯訶備比古遅神はその四番目に位置する。これらの神々はいずれも独神で身を隠した造化三神+二柱として神世七代に先立つ別格の神統を成す。
明確な主祭神とする社は少ないが、神産御祖神社(兵庫県朝来市)、葦原神社(青森県上北郡)などに祀られる。生命力の発現を象徴する神として、新嘗祭の延長線上にある祈年祭・新生児の祈祷などに引かれることがある。原初の生成原理を表す神格として古代神祇祭祀の根源に位置づけられる。
宇摩志阿斯訶備比古遅神 うましあしかびひこぢのかみ/うましあしかびひこじのかみ
一次文献國學院大學 古典文化学事業「神名データベース」宇摩志阿斯訶備比古遅神。
https://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/umashiashikabihikojinokami/古事記 上巻 天地初発段
一次文献古事記 上巻 天地初発段に基づく神格・系譜・登場場面の整理。
神道・神名辞典 宇摩志阿斯訶備比古遅神項
二次資料神道・神名辞典 宇摩志阿斯訶備比古遅神項を参照した神格名・関連文脈の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。