
伝承
阿波狸合戦伝承は、徳島県小松島市を入口にたどる伝承。徳島県小松島市を代表地点として、怪異・変化の文脈で語り継がれる物語を整理する
阿波狸合戦伝承は、徳島県小松島の金長狸(きんちょうだぬき)と津田の六右衛門狸(ろくえもんだぬき)が天保年間(1830〜1844 年)に大合戦を繰り広げたという、四国の狸譚の代表的物語である。染物屋に拾われた金長は染物屋の主人に恩義を感じ、武芸を磨くため六右衛門の門に弟子入りするが、力をつけた金長を恐れた六右衛門が娘との縁談を口実に追い詰めようとしたため、両者の間に決裂が生じる。金長は染物屋に戻り、六右衛門との間に大規模な合戦が起こって両者ともに討ち死にする。金長は後に正一位を贈られて金長大明神として祀られ、染物屋の繁盛を守護したと伝えられる。
物語は三段で構成される——(一)染物屋と金長の出会いと恩義、(二)六右衛門への弟子入りと不和、(三)合戦と両狸の死、神格化と祭祀。四国独自の狸文化を象徴する伝承で、佐渡の団三郎、四国の太三郎と並び称される金長は、義理と恩義の物語に変身譚を重ねた近世怪異譚の典型例である。
比定地は徳島県小松島市中田町の金長神社(きんちょうじんじゃ)。染物屋の主人・大和屋茂衛門の屋敷跡近くに鎮座し、金長を商売繁盛の守護神として祀る。津田の六右衛門狸の本拠は徳島市津田町と伝えられ、勝浦川(かつうらがわ)流域から小松島湾岸一帯を伝承圏とする。
近代の郷土史家・林雲渓(はやしうんけい)の口承採録、徳島本社所蔵記録に基づく。大正年間に染物屋の子孫らが正一位の神位を奏請したとされ、現代では作家・笹沢左保の『阿波狸合戦』(昭和三十年代)や映画化作品(昭和十四年・1939 年大映製作『阿波狸合戦』)等により全国に知られた。徳島県・小松島市の文化財解説資料、金長神社社伝が地域伝承の基礎史料となる。
怪談・怪異伝承資料 阿波狸合戦伝承
一次文献怪談・怪異伝承資料 阿波狸合戦伝承に基づく阿波狸合戦伝承の代表的な典拠整理。
日本怪異妖怪事典
二次資料日本怪異妖怪事典などを参照した阿波狸合戦伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
読了した由緒を起点に、あなた自身の繋がりをひらきます。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。