
山の怪異
一本だたらは、徳島県三好市を入口にたどる怪異。山道に現れる一つ目一本足の怪異として語られる
一本だたら(いっぽんだたら/いっぽんたたら)は、山道に現れる一つ目で一本足の怪異。十二月二十日の夜にのみ現れる、あるいは熊野山中・大峰山系の峠で旅人を脅かすと伝えられる。徳島県三好市の山間部、紀伊半島の山岳地帯など、西日本の山脈に類話が分布する。
典型的な筋は、雪のちらつく師走の夜、山道を行く旅人の前に巨大な一つ目・一本足の影が現れる、というもの。紀伊半島の熊野・大峰の伝承では「12 月 20 日に山に入るな」という禁忌と結びつき、この日に山に入った者が一本だたらに出会って命を落とすという話型が広く語られる。鍛冶(たたら製鉄)の神 天目一箇神(あめのまひとつのかみ)との連想から、山中の製鉄信仰の名残を留めた怪異とも論じられる。
柳田國男『一目小僧その他』(小山書店、1934 年)に一本だたら・一つ目小僧と古代製鉄神の関係が論じられる。鳥山石燕『今昔画図続百鬼』(1779 年)にも「一本足」「目一鬼(もくいちき)」として近縁の図像が見える。村上健司編著『日本妖怪大事典』(2005 年)、国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」に紀伊・四国・出雲の事例が収録される。
近縁怪異として「一つ目小僧」「目一つ五郎」「天目一箇神」と一目一足の主題を共有する。四国山地・紀伊半島・出雲という古代製鉄が盛んな地域に分布する点が、柳田の鍛冶神由来説の根拠とされる。徳島県三好市の山間部では、剣山系の峠の伝承として伝えられたと伝えられる。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 一本だたら
一次文献国際日本文化研究センター
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 一本だたらに基づく一本だたらの代表的な典拠整理。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/日本妖怪大事典
二次資料村上健司 編著
日本妖怪大事典などを参照した一本だたらの地域的受容と類縁語の補助確認。
名称や説話、図像、儀礼に重なる具体モチーフです。