
伝承
小豆洗い伝承は山梨県を主な舞台として整理する伝承。小豆洗いとの関係を持ち、土地と怪異を結ぶ入口になる。
小豆洗い(あずきあらい)伝承は、夜の川辺・橋の下から「小豆とごうか、人取って食おか、しょきしょき」と聞こえる怪異の譚である。姿は見えず、川石を擦り合わせるような乾いた小豆を洗う音だけが響くこと、川に近づいて音の方を見ても何もいないこと、声をかけると音が遠ざかること、が定型となる。盲目の小坊主や、小柄な老人の姿で目撃されることもあるとされるが、本質は音響的怪異であり、川辺・橋の下という境界に置かれた水辺の妖怪として配置される。山梨県を含む甲信越地方を中心に、東北・関東一帯にも分布する。
物語は三段で構成される——(一)夜半の川辺・橋下からの小豆洗いの音、(二)音への接近と姿なき不可視性、(三)声をかけることでの消失。可視ではなく可聴の怪異という点で、砂かけ婆・送り提灯・たたみ叩きと同じ系譜に立ち、夜間移動の聴覚的不安を妖怪化する近世民俗の典型を成す。
中心となる伝承圏は山梨県の笛吹川・釜無川流域、長野県・新潟県の千曲川・信濃川流域。同類の伝承が福島県会津地方(小豆研ぎ婆)、栃木県、群馬県にも分布し、東日本の山間部水辺に共通する境界怪異の一群を成す。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』(安永五年・1776 年)に「小豆洗い」の図と詞書がある。柳田國男『妖怪談義』『遠野物語拾遺』。山梨県史 民俗編、信濃毎日新聞社編『信州の妖怪』など地方民俗誌に類話の収録がある。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース
一次文献国際日本文化研究センター
小豆洗い伝承に関わる怪異・伝承資料の参照入口。
https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB3/小豆洗い伝承 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
小豆洗い伝承の概要に関する二次整理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E8%B1%86%E6%B4%97%E3%81%84%E4%BC%9D%E6%89%BF