
伝承
高倉天皇に寵愛された箏の名手・小督局が、平清盛の怒りを避けて嵯峨野に隠れ、勅使源仲国が月夜に箏の音を頼りに探し出す『平家物語』巻六「小督」段の説話。
小督局伝説は、『平家物語』巻六「小督」段に記される説話。藤原成範の娘・小督(こごう、1157 年生)は箏の名手として知られ、初め冷泉隆房の妻となるが、後に高倉天皇に召されて寵愛を受ける。中宮徳子(建礼門院)の父である平清盛は、娘の地位を脅かす存在として小督を疎み、宮中から追放しようとする。小督は嵯峨野へ姿をくらまし、高倉天皇は嘆き悲しむ。勅命を受けた源仲国(みなもとのなかくに)は、八月十五夜の月の下、馬を駆って嵯峨野を尋ね、片折戸の家から漏れ聞こえる「想夫恋(そうふれん)」の箏の音を頼りに小督を見つけ出し、文を渡す。小督は再び宮中へ召されて範子内親王を産むが、平清盛の怒りによって出家を強いられ、嵯峨で尼となる。
物語は「禁断の寵愛」「権臣の妨害」「失踪と隠棲」「月夜の探索」「楽器の音による発見」「再会と別離」という、王朝悲恋譚の典型構造を取る。箏曲「想夫恋」と月、嵯峨野という設定は、後世の謡曲『小督』(金春禅竹作とされる)に継承され、能の幽玄美の代表曲のひとつとなる。藤原定家は『明月記』元久二年(1205 年)嵯峨での小督見舞いを記しており、史実層と説話層の境界に位置する人物像である。
京都市右京区嵯峨は中心的伝承地で、嵯峨清涼寺の南には「小督塚」が伝わる。源仲国が小督を探し当てたとされる片折戸の家の伝承地は、清涼寺周辺・法輪寺近辺の複数説がある。京都嵐山・渡月橋付近は謡曲『小督』の舞台として知られる。
『平家物語』巻六「小督」段(鎌倉中期、十三世紀成立)が中心。藤原定家『明月記』元久二年八月、謡曲『小督』、『平家物語評判秘伝抄』など中世・近世注釈書にも展開する。
平家物語 巻六 小督段
一次文献作者未詳
平家物語巻六に小督の嵯峨野隠棲、源仲国の月夜の探索、箏曲「想夫恋」による発見が記される。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/879921小督 - Wikipedia 日本語版
二次資料Wikipedia contributors
小督局の人物伝、平家物語と謡曲『小督』に関する二次整理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E7%9D%A3