
伝承
おかめひょっとこ伝承は、東京都千代田区を入口にたどる伝承。東京都千代田区を代表地点として、芸能・祭礼の文脈で語り継がれる物語を整理する
おかめひょっとこ伝承は、東京都千代田区を中心とする江戸の祭礼芸能・里神楽(さとかぐら)に登場する道化面「おかめ(お多福、おたふく)」と「ひょっとこ」の起源と性格を語る民俗伝承である。おかめは丸顔・低い鼻・笑顔の女性の面で、福を呼び込む女神格として、ひょっとこは口を尖らせ片目を細めた男性の面で、竈神(かまどがみ・火男(ひおとこ)の訛り)として、二者一対で江戸の里神楽・寄席芸能・祭礼の演目に登場する。神社の神楽奉納の最終演目「狐釣り」「種蒔き」「種貰い」などで滑稽味を担い、観客の笑いを誘って祭礼の場を解き放つ役割を果たす。素戔嗚尊(祇園系)・天宇受売命(あめのうずめのみこと、岩戸開きの天鈿女)との関係を持つ女神・男神の民俗化された像として位置づけられる。
物語の核は三段で構成される——(一)おかめ=お多福の女神格化(天宇受売命の岩戸前の踊りの民俗版)と福招き性格、(二)ひょっとこ=竈神(火男)の家神格化、(三)二者一対の祭礼舞台での滑稽役。江戸の里神楽の十六番(じゅうろくばん)演目に「種蒔き」「種貰い」「狐釣り」など、おかめひょっとこが活躍する滑稽神楽が含まれ、江戸町人文化の祭礼空間を形成した。天宇受売命との関係を持つ芸能神信仰の系譜に位置する。
中心となる伝承圏は東京都千代田区神田明神(かんだみょうじん)・港区芝大神宮・台東区下谷神社などの江戸総鎮守と、深川・浅草・神楽坂などの旧町人地。江戸里神楽の四家(松本家・若山家・間宮家・山本家)が江戸後期から明治期にかけて活躍し、おかめひょっとこの面と演目を継承した。
江戸後期の神楽資料『神楽歌』『里神楽十六番』、近世風俗誌『守貞謾稿(もりさだまんこう)』『江戸名所図会』。東京都教育委員会編『東京都史 民俗編』、千代田区史、江戸里神楽研究の集成、国指定重要無形民俗文化財「江戸の里神楽」関連文化庁資料に詳しい。
祭礼・民俗芸能資料 おかめひょっとこ伝承
一次文献祭礼・民俗芸能資料 おかめひょっとこ伝承に基づくおかめひょっとこ伝承の代表的な典拠整理。
日本民俗大系
二次資料日本民俗大系などを参照したおかめひょっとこ伝承の地域的受容と異伝の補助確認。
あなたの縁
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